「フォームの項目数を減らすと問合せが増える」というのは、Web制作の現場では半ば常識のように言われてきました。ただし、この常識が自社のサイトに当てはまるかどうかを、実測で確認したことがある会社は多くありません。
推測ではなく実測で確かめるために、20業種603サイトの問合せフォームを同じ基準で診断しました。この記事の数字はすべて、2026年9月時点・603サイトの実測値です。
なお、この記事が扱うのは「項目の多さそのもの」だけです。入力のしやすさ(スマートフォンでのキーボード切り替えや自動入力)は別記事、送信前の不安や個人情報への配慮も別記事で扱います。ここでは、項目を減らす・減らさないの判断だけに絞ります。
603サイトの実測:フォームを解析できたのは52%
603サイトのうち、問合せフォームを取得して項目数を数えられたのが316件、**52%**でした。残りは外部サービス埋め込みのフォームで構造を直接数えられなかったものや、そもそも問合せフォームを設置していないサイトです。以下の数字は、この316件についての実測です。
項目数の分布:中央値7、10項目超が25%
316サイトの入力項目数を数えたところ、次のような分布になりました。

| 項目数の区分 | サイト数 | 割合 |
|---|---|---|
| 5項目以下 | 121件 | 38% |
| 6〜10項目 | 115件 | 37% |
| 11項目以上 | 80件 | 25% |
表① フォームの入力項目数(316サイト・区分別)
中央値は7項目、最も多いサイトで40項目、最も少ないサイトで1項目でした。
40項目という数字だけ見ると特殊な例に思えるかもしれませんが、これは実在するフォームの実測値です。氏名・連絡先といった基本項目に加えて、業務内容の詳細、予算、希望時期、社内の稟議状況といった項目が一列に並び、担当者が善意で「後で聞く手間を省こう」と積み重ねた結果、こうなっていました。個社名は伏せますが、少なくとも今回の316件の中に、1件はこの規模の実例があるということです。
このサイトのフォームが最初から40項目だったとは考えにくく、リニューアルのたびに1〜2項目ずつ追加され、誰も引き算をしないまま積み上がった結果と見るのが自然です。11項目以上のサイトが80件、25%あるということは、こうした積み上がりが特殊な事故ではなく、4サイトに1サイトの割合で起きているということでもあります。
4分の1のサイトが11項目以上を課しているという事実は、「うちは多くない」と思っている会社ほど確認する価値があります。中央値の7項目自体、氏名・連絡先・相談内容の3点だけで足りる問合せに対しては、すでに多い部類です。6〜10項目に収まっている115件、37%についても、その内訳が「連絡を取るために必要な項目」なのか「後工程で確認すれば済む項目」なのかは、項目数だけでは判別できません。数だけでなく中身を見る必要がある、という点は次の必須項目の話につながります。
必須項目:マークが1つも無いフォームが55%
もう1つ、項目数以上に見落とされがちな実測値があります。必須項目に印(*や「必須」の表示)が1つも付いていないフォームが、316件中**173件、55%**ありました。

必須マークが無いこと自体は、一見すると「全項目が任意で、気軽に送れる」ように思えます。ですが実際に多いのは逆のパターンです。フォームの項目はそのまま残っていて、必須かどうかの表示だけが省略されている。この場合、ユーザーは「どこまで書けば送信ボタンが押せるのか」を最後まで確信できないまま、フォームの上から順に埋めていくことになります。項目数が多いフォームほど、この不確実性は離脱に直結します。
必須マークがあるフォームに限って必須項目数を平均すると、2.4項目でした。氏名・連絡先・相談内容の3点に近い数字であり、必須マークを付けている会社は、すでに「本当に要る項目」を絞り込む判断をしている、と読み取れます。逆に言えば、必須マークが無い173件は、この絞り込みの判断自体をしていない可能性が高いということです。
必須マークの有無は、項目数の多さとは別の軸で効いてきます。たとえば項目数が7つで中央値どおりのフォームでも、必須マークが無ければユーザーは7つ全部を埋めるべきかどうか自分で判断しなければなりません。逆に項目数が10を超えていても、必須マークで「本当に必要なのはこの3つだけ」と明示されていれば、残りは読み飛ばしてよいと分かります。つまり項目数を減らす前に、まず必須マークを付けて絞り込みを可視化するだけでも、体感の負担は変わるということです。
なぜ項目は増えたまま放置されるのか
フォームの項目数は、一度に40項目まで積み上がるわけではありません。営業部門から「予算感を先に知りたい」、制作会社から「後工程のヒアリングを省きたい」、経営者から「せっかくだから会社概要も聞いておこう」と、関係者それぞれの都合が少しずつ足されて増えていきます。
この10年、サイト改善の現場でこの構図を繰り返し見てきました。項目を1つ増やす判断は個別には合理的に見えても、積み上げた結果としてのフォーム全体の完了率を見ている人がいません。構造化データが発注書に入らないのと同じ理由で、フォームの項目数も「見た目の変化が無い」ため、リニューアルのたびに引き継がれるだけで、削られる機会がないまま残ります。
問合せフォームは、サイト内の他のどのページとも違う性質を持っています。ここまで来た人はすでに問い合わせる意思を固めていて、あとは送信するだけです。にもかかわらず、最後のこの1ページだけが年々項目を増やしながら放置されやすいのは、サイトの中で最も「見られていない」ページだからです。トップページやサービスページは公開のたびに見直されますが、フォームのHTMLを開いて項目を数え直す機会は、リニューアルのタイミングを逃すとほぼありません。
実測値から、あなたのサイトではどう判断するか
ここまでの実測を踏まえると、判断すべきことは3つです。
- 自社のフォームの項目数を、まず実際に数える。 中央値の7項目、11項目以上が25%という基準に対して、自社が多い側か少ない側かを確認します。
- 必須マークが付いているかを確認する。 55%のサイトのようにマークが無い場合、それは「任意項目ばかり」ではなく「絞り込みが未着手」のサインです。
- 必須項目を、連絡が取れる最小限まで絞る。 実測で必須マークがある会社の平均が2.4項目だったことを踏まえると、氏名・メールアドレス・相談内容の3つを目安に、電話番号・会社名・部署・予算・希望日時は任意に落とすか、返信後に聞く運用に変えられないかを検討します。
実際に項目を1つずつ見直すときの目安は、次のように整理できます。
| 項目 | 位置づけ | 実測から見た判断の目安 |
|---|---|---|
| 氏名・メールアドレス・相談内容 | 連絡を取るために必須 | 必須のまま残す |
| 電話番号 | メールで連絡が取れれば不要 | 任意に落とす、または急ぎの相談のみ必須にする |
| 会社名・部署・役職 | BtoBで有用だが送信前には不確定なことも | 任意にし、返信時のヒアリングで確認する |
| 予算・希望時期 | 商談の初期情報としては有用 | 選択式にして負担を下げるか、任意にする |
| 当院・当社を知ったきっかけ | マーケティング目的で追加されがち | 送信後のサンクスページや初回連絡時に聞く |
表② 項目ごとの要否判断の目安
40項目のフォームのように、項目が業務都合で積み上がっている場合は、一度にすべてを削る必要はありません。まず必須と任意の線引きを付け直すだけでも、フォームを開いた瞬間の圧迫感は変わります。
制作会社に依頼する場合は、「項目を減らしてください」だけでは判断が制作側に委ねられてしまいます。「必須項目を氏名・メール・相談内容の3つにし、それ以外は任意表示に変更する」という粒度で伝えると、作業量が見積もれる形になります。修正の効果は、フォーム到達数と送信完了数をGA4などでイベント計測していれば、完了率の変化として数字で確認できます。
私たちが公開している無料のコンバージョン偏差値スキャナーでは、この表②のような要否判断も含めてフォームの設計をUI/UX(CRO)軸で採点しており、自社のフォームが同業他社と比べて項目過多かどうかを、数値で確認できます。
自社のフォームがどうなっているか確かめる
自社のフォームの項目数や必須マークの有無は、実際にフォームを開いて数えれば分かります。ただし、これだけでは「同業他社と比べて多いのか少ないのか」までは分かりません。
私たちが公開しているコンバージョン偏差値スキャナーでは、URLを入力するだけで、この記事で使った603サイトと同じ基準の診断を受けられます。フォームの項目数や必須項目の設計を含むUI/UX(CRO)の項目に加えて、SEO集客・サイト基盤・AI検索対策の4軸50項目を採点し、同業種の中での偏差値として結果が出ます。登録は不要で、2〜3分で画面に表示されます。
なお、20業種の総合スコアの一覧や偏差値の考え方は別記事にまとめています。
まとめ
- 603サイトのうち、フォームを解析できた316件(52%)を実測した
- 項目数の中央値は7、10項目超は80件(25%)、5項目以下は121件(38%)。最大は40項目、最小は1項目だった
- 必須マークが1つも無いフォームが173件、55%を占める。必須マークがある会社に限ると、平均必須項目数は2.4だった
- 必須マークの欠如は「任意ばかりで気軽」ではなく、項目の絞り込みが未着手であるサインである可能性が高い
- 入力のしやすさと送信前の不安への配慮は、それぞれ別記事で扱う
まずは自社のフォームの項目数を数えるところからです。URLを入れるだけの無料診断で、同業種の中での位置が偏差値で分かります。

