本記事の数値について
20業種603サイトを同一基準で実測した、2026年9月12日時点の診断データに基づきます。以後の診断で母数は増えますが、本記事の数値は再集計せず固定しています。集計方法・採点基準・限界は調査方法と採点基準をご覧ください。
電話番号が書いてあるのに、タップしても発信できない。スマートフォンでサイトを見ている人にとって、これは地味ですが、取りこぼしの大きいつまずきです。
いまサイトを見ている人の多くはスマートフォンを使っています。総務省の調査でも、個人のインターネット利用機器はスマートフォンが最多で、店舗や事業者の情報を探すときも同様の傾向があります。その利用者が電話番号を見つけたとき、tel:リンク(<a href="tel:0312345678">のように書く、タップした瞬間に発信画面が開くリンク形式)になっていれば、そのまま1タップで発信できます。なっていなければ、番号を目で確認し、電話アプリを開き、10桁前後の数字を手入力するという、パソコン時代のままの手順を踏むことになります。
この記事の数字はすべて、2026年9月時点・603サイトの実測値です。今回はその中でも、電話番号がこのtel:リンクの形式になっているかどうかを、業種別に集計しました。
603サイトの実測:来店型の16%が、電話番号をタップできる形にしていない
603サイトを、トップページから電話番号を検出できたかどうかで3つに分けると、次のようになりました。
| 状態 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
tel:リンクとして検出できた |
199件 | 33% |
電話番号はあるがtel:リンクではない |
76件 | 13% |
| 電話番号自体を検出できなかった | 328件 | 54% |
この記事が扱うのは真ん中の76件です。電話番号を検出できた275サイトに限れば、28%がタップで発信できない状態でした。
いちばん下の328件については、この診断からは「電話をかけさせる導線がトップページに見当たらない」ということしか言えません。画像として置いている、フッターの奥にある、そもそも電話を受けていない——どれなのかは区別できていません。数字を読むときは、この限界を踏まえてください。
業態で絞り込むと、真ん中の76件の分布に偏りが出ます。
来店・来院がゴールになるサイト(飲食店、美容サロン、歯科医院、整体院、介護施設、自動車販売店など)は303件ありました。この303件に限ると、電話番号はあるのにtel:リンクになっていないサイトが47件、**16%**あります。

| 対象 | 母数 | 番号はあるがtel:リンクなし | 割合 |
|---|---|---|---|
| 全体 | 603件 | 76件 | 13% |
| 来店型サイト | 303件 | 47件 | 16% |
表① 電話番号はあるのにtel:リンクになっていない件数(全体・来店型)
来店型サイトのほうが、電話が問い合わせ手段として使われる比率が高い業態です。近くの店を探して、その場で在庫や空き状況を確認したい、道順を尋ねたいという場面が多いからです。にもかかわらず、平均より未実装率が高いという逆転が起きています。
未実装のパターンにも傾向があります。多いのは、電話番号が画像として埋め込まれている、あるいはヘッダーやフッターに単なるテキストとして置かれているケースです。どちらも人間の目には電話番号として読めますが、ブラウザにとってはただの文字列や画像でしかなく、タップしても何も起きません。さらに厄介なのは、サイト内の一部のページだけtel:リンクになっていて、別のページ(アクセスページやフッターなど)では素のテキストのままという、実装が中途半端なケースです。この場合、診断上は「実装あり」と見えても、訪問者がどのページから電話をかけようとしたかによって成否が変わってしまいます。
業種で見ると、43%から0%まで大きく開く
来店型303件を業種別に割ると、差はさらにはっきりします。

| 業種 | tel:リンクなし | 割合 |
|---|---|---|
| 介護・福祉 | 13 / 30 | 43% |
| 自動車販売・整備 | 7 / 30 | 23% |
| 観光・宿泊 | 5 / 30 | 17% |
| 医療・クリニック | 5 / 30 | 17% |
| 歯科 | 5 / 30 | 17% |
| 結婚式場・ブライダル | 4 / 30 | 13% |
| 整体・治療院 | 3 / 30 | 10% |
| 美容・サロン | 3 / 33 | 9% |
| 教育・スクール | 2 / 30 | 7% |
| 飲食 | 0 / 30 | 0% |
表② 来店型サイトの業種別・tel:リンク未実装率(高い順)
上位に並ぶのは、介護・福祉(43%)、自動車販売・整備(23%)、観光・宿泊と医療・クリニックと歯科がいずれも17%前後です。
飲食が0%なのは、実装率が高いからではありません。飲食30サイトは1件も電話番号を検出できず、「番号はあるのにリンクでない」という分類に入る対象がそもそも存在しませんでした。この0%は、良い意味の0ではなく測定できていないという意味の0です。理由は後述します。
電話が主要な成約経路の業種ほど、この一手間が売上に直結する
なぜtel:リンクの有無が軽視できないのか。業態ごとの問い合わせ経路を考えると理由がはっきりします。
介護・福祉は、家族が施設や在宅サービスを探すとき、最終的な相談はほぼ電話で行われます。空き状況や個別の事情はサイト上のフォームでは完結せず、担当者との会話が前提になるからです。今回の実測で介護・福祉が43%と最も高い未実装率だったのは、この業種にとって特に痛手です。相談したい家族がスマートフォンで電話番号を見つけ、指でタップしても何も起きない。もう一度番号を目で確認して、電話アプリを開いて、10桁前後の数字を手入力する。この数タップの差で、離脱してしまう人が一定数います。
自動車販売・整備も同様です。車検の予約、故障時の緊急の問い合わせ、見積もりの相談は、フォームの入力を待てないケースが多い。23%という未実装率は、緊急性の高い問い合わせを取りこぼしている可能性を示しています。
医療・クリニックと歯科も17%前後で未実装がありました。予約の空き確認や当日のキャンセル連絡は電話が最速の手段であり続けています。オンライン予約システムを併用しているサイトでも、電話問い合わせの動線を軽視してよい理由にはなりません。
観光・宿泊も17%です。直前の空室確認、団体利用の相談など、フォームでは対応しきれない問い合わせが電話に流れる業態です。
これらの業種に共通するのは、フォームでは完結しない相談が問い合わせの中心にあるということです。フォームの改善に力を入れていても、電話という経路そのものが機能していなければ、そこにたどり着いた見込み客を取りこぼします。
しかも、電話をかけようとする人は、比較検討がすでに終わっている見込み客であることが多いという点も見逃せません。フォームに何行も入力する手間をかけずに、いきなり電話をかけてくる人は、他社との比較を終えて「あとは条件を確認するだけ」という段階にいるケースが少なくありません。問い合わせの母数としては小さくても、成約に近い層です。ここで数タップの余計な手間を発生させることは、母数の大きいフォーム経由の問い合わせを1件取りこぼすのとは違う重さを持っています。
飲食の0%は、実装率の高さを意味しない
飲食30サイトは、1件も電話番号を検出できませんでした。来店型10業種の中で唯一、この分類に入る対象がゼロだった業種です。
電話予約が主要な経路であるはずの業態で、これは奇妙に見えます。考えられるのは、飲食店サイトでは電話番号が画像として置かれていることが多いという事情です。店舗情報をデザインの一部として画像に焼き込む作りは、飲食店のサイトで珍しくありません。人間の目には電話番号として読めますが、機械には文字として見えず、今回の診断でも検出できません。
この場合、訪問者は番号を目で読み、電話アプリを開き、手で入力することになります。タップできないという点では、番号がテキストのまま置かれているのと同じ状態です。
つまり飲食の0%は「全社が実装済み」ではなく「別の形の取りこぼしが、この集計では見えていない」と読むのが正確です。飲食店のサイトをお持ちなら、まずスマートフォンで自店のページを開き、電話番号をタップしてみてください。何も起きないなら、それが答えです。
介護・福祉(43%)や自動車販売・整備(23%)は、電話番号がテキストとして存在することは検出できたうえで、リンクになっていなかった業種です。こちらは修正箇所がはっきりしている分、対処は簡単です。
自社サイトではどう判断するか
まず、自社のサイトを実際にスマートフォンで開いて、電話番号の文字列を指でタップしてみてください。発信確認の画面が出れば実装済みです。何も起きない、あるいは電話アプリではなく別の画面が開く場合は、電話番号がただのテキストとして置かれているだけの状態です。
次に、判断の軸を「自社の問い合わせが、どれだけ電話に依存しているか」に置いてください。フォームやチャットである程度完結する業態であれば、優先度は相対的に下がります。逆に、今回の実測で未実装率が高かった介護・福祉、自動車販売・整備、医療・クリニック、歯科、観光・宿泊のように、相談や予約の最終段階が電話でしか完結しない業態であれば、これは後回しにできない改修です。
実装自体は、電話番号を<a href="tel:0312345678">という形式のリンクにするだけです。デザインを変える必要はなく、既存の電話番号表示をこの形式に置き換えれば済みます。確認すべき箇所は、次の4つに集約できます。
- ヘッダー:全ページ共通で表示される電話番号。ここが未実装だと、全ページで機会損失が起きる
- フッター:ヘッダーには実装済みでも、フッターだけテキストのままというケースが目立つ
- 店舗一覧・拠点ページ:複数店舗を持つ業種で見落とされやすい。店舗ごとに番号が異なるため、1件ずつ確認が必要
- アクセス・お問い合わせページ:来店を検討している人が最後に開くページ。ここでの取りこぼしは特に痛い
1箇所だけ直しても、他のページで同じ番号がテキストのままなら、そこからの離脱は防げません。サイト内を横断して、電話番号が表示されているすべての箇所を洗い出すのが確実です。
もう1つ、実装したあとの話も触れておきます。tel:リンクにしただけでは、そのリンクが実際にどれだけ発信につながったかは分かりません。アクセス解析のイベント計測や、コールトラッキング(発信元ページごとに異なる番号を表示し、どのページ経由の電話かを追跡する仕組み)を入れれば、電話経由の反響を数字で把握できるようになります。ただし、それはtel:リンクを実装したあとの話です。まずタップできる状態にすることが先です。
自社サイトのどのページで電話番号がリンクになっていないか、また電話導線以外にどこで問い合わせを取りこぼしているかは、ページを1枚ずつ目視で確認するより、診断ツールで一括して洗い出したほうが早く済みます。私たちが公開しているコンバージョン偏差値スキャナーでは、URLを入力するだけで、この記事で使った603サイトと同じ基準で電話導線を含むUI/UXの実装状況を採点し、同業種の中での偏差値として結果が出ます。登録は不要で、最短60秒で画面に表示されます。
サイト全体の傾向を見たい場合は、20業種の総合スコアを一覧できる軸記事もあわせてご覧ください。
まとめ
- 603サイトの実測で、電話番号はあるのに
tel:リンクになっていないサイトが13%(76件)。電話番号を検出できた275サイトに限れば28%にあたる - 業種別では介護・福祉が43%で最も高く、次いで自動車販売・整備23%、観光・宿泊・医療・クリニック・歯科がいずれも17%前後
- 飲食30件は電話番号自体を検出できなかった。番号を画像で置いている可能性が高く、実装率が高いという意味ではない
- 電話が主要な成約経路になりやすい業種ほど、この一手間の有無が売上に直結する
- 修正はリンク形式を変えるだけの軽微な作業。デザインを変える必要はない
自社サイトの電話番号が、タップ1回で発信できる形になっているか。URLを入れるだけの無料診断で、電話導線を含めた同業種の中での位置が偏差値で分かります。






