本記事の数値について CVSCAN Labが調査対象としている20業種602サイトについて、2026年9月のクロールで記録した robots.txt・見出し・FAQ・構造化データと、2026年10月23日に各サイトへ1回ずつ問い合わせた llms.txt の有無を集計しました。見出しやFAQの判定は機械的なもので、取りこぼしや拾いすぎがあります。Googleの考え方は、Google検索セントラルの公式ガイド(2025年12月更新)から引用しています。
前回は、Googleの検索結果にAIの要約が出ると、リンクのクリックが15%から8%に減ったという米国の調査を紹介しました。同時に、Googleは、要約に出典として載るのに特別な対策は要らず、SEOの基本でよいと述べていました。
では、国内のサイトは、AIの要約に「答えの出典」として引かれる準備ができているのか。CVSCAN Labの602サイトで確かめました。
拒否しているサイト
事業者の構造化がそろう
無いサイト
置いているサイト
CVSCAN Lab(国内20業種602サイト。AIのクローラーの拒否だけは、robots.txt を確認できた486サイトが分母)。robots.txt・見出し・FAQ・構造化データは2026年9月、llms.txt は2026年10月の確認
門は開いている。AIのクローラーを拒否しているのは2%
まず、入口です。サイトが robots.txt で、AIの学習や検索に使われるクローラー(GPTBot、ClaudeBot、Google-Extended など)を拒否していると、そもそも読まれません。
robots.txt を確認できた486サイトのうち、**AIのクローラーを1つでも拒否していたのは9サイト、1.9%**でした。多かったのは GPTBot(5サイト)と ClaudeBot(4サイト)です。国内の中小企業のサイトは、ほぼすべてが「読んでいい」状態にあります。
なお、Googleのガイドによれば、GoogleのAIの要約に出典として載る条件は、通常の検索と同じく、インデックスされ、スニペット付きで表示できることです。ガイドが最初に挙げているのも、robots.txt やCDNでクロールを止めていないことです。門の問題は、国内ではほとんど起きていません。問題は、門の先です。
質問に答える見出しがあるのは、半分
前回の調査では、AIの要約は「なぜ」「何」などの質問の形の検索で6割出ていました。要約の出典に選ばれるには、ページの中に、その質問への答えがはっきり書かれている必要があります。いちばん分かりやすい形が、質問の形をした見出しです(「費用はいくらですか」「〇〇とは」「△△と□□の違い」など)。
図① 質問に答える形の内容がある割合(602サイト、クロールした主要ページで判定)
質問形の見出しが1つでもあるサイトは53.2%。ただし3つ以上となると28.1%に下がり、クロールしたページの見出し全体に占める質問形の割合は、中央値でわずか**1.1%**でした。見出しのほとんどは「サービス紹介」「当院の特徴」「会社概要」のような、名詞で終わる見出しです。
FAQは43.5%のサイトにありますが、5問以上そろっているのは28.6%。質問にまとまった形で答えているサイトは、3割に届きません。
「誰が答えているか」を機械に伝えているのは3割
AIが要約の出典を選ぶとき、内容に加えて「この答えは誰が書いたか」も手がかりになります。それを機械に伝えるのが、Organization(組織)や LocalBusiness(店舗・事業所)などの事業者を表す構造化データです。
602サイトのうち、事業者を表す構造化データを持つのは32.4%。ここでは、組織や店舗を表す型のどれかがあれば「あり」と数えています。構造化データとAI検索対策の実態とは数え方が違うため、数字は一致しません。住所をページに書いているサイトは58.5%あります。文字では書いていても、機械が読める形にはしていないサイトが少なくないと見られます。Googleのガイドが求めているのは「構造化データが、ページに見えている文と一致していること」で、見えている住所や営業時間を、そのまま構造化データにも書けば済みます。
3つそろうのは12%、どれも無いのが25%
質問形の見出し、FAQ、事業者の構造化データ。この3つがそろい、かつAIのクローラーを拒否していないサイトは、**602サイト中72サイト、12.0%でした。逆に、3つのどれも無いサイトが151サイト、25.1%**あります。
業種による差は大きく、次のようになりました。
図② 質問形の見出し・FAQ・事業者の構造化データの3つがそろう割合(業種別、各28〜33サイト)
上位には、物流・SaaS・レンタルサーバーなど、比べられることの多い業種と、整体・歯科など、症状や治療の疑問に答える機会の多い業種が並びました。下位の飲食・観光・ブライダルは、写真や雰囲気で選ばれることが多く、文字で答える内容が少なくなりがちな業種と考えられます。ただ、これらの業種も「結婚式 費用 相場」「旅館 子連れ 何歳から」のような質問の形で調べられる業種です。文字で答えていなければ、要約の出典にはなりにくくなります。
業態別に見ても、問い合わせ型(質問形の見出し58.0%、FAQ 46.8%、構造化36.4%)に比べ、来店型(50.0%、42.4%、29.8%)、EC(40.0%、26.7%、20.0%)の順に低くなっていました。
llms.txt は9%が置いていた。ただしGoogleは「不要」
最近話題になっている llms.txt(AI向けに、サイトの概要と主要ページの一覧をまとめたテキストファイル)も確かめました。602サイト中**54サイト、9.0%**が置いていました。
ただし中身を見ると、16サイトはWordPressのSEOプラグインが自動で作ったもの、4サイトはネットショップのサービスが自動で作ったと見られるもので、意識して作られたものばかりではありません。
そして、Googleのガイドははっきり書いています。AIの要約やAIモードに出るために、AI用のテキストファイルや、特別な構造化データを新たに作る必要はない。llms.txt はもともと2024年に個人が提案した形式で、主要な検索エンジンやAI事業者が採用を公式に表明しているわけではありません。置いて害はありませんが、優先順位は高くありません。
優先度が低いもの
- llms.txt を作る(9.0%が実施)
- AIのクローラーの許可設定を見直す(拒否は1.9%だけ)
先にやるべきもの
- 質問形の見出しで答える(3つ以上は28.1%)
- FAQを5問以上(28.6%)
- 事業者の構造化データ(32.4%)
図③ 国内の実態とGoogleのガイドから見た、AI検索対策の優先順位
この数字の限界
① 「準備ができている」と「実際に引用されている」は別です。今回測ったのはサイト側の形で、AIの要約に実際に出典として載っているかは調べていません。
② 見出しとFAQの判定は機械的です。質問の言葉(とは・なぜ・いくら・方法 など)を含む見出しを数えたもので、言い回しによっては取りこぼしや拾いすぎがあります。また、クロールした主要ページだけの判定です。
③ 店舗型にとって最も大事な Googleビジネスプロフィールは、今回の対象外です。Googleのガイドも、ビジネスプロフィールの情報を最新に保つことを挙げています。
何から手を付けるか
- お客様から実際に受ける質問を10個書き出す(電話・メール・来店時に聞かれること)
- そのうち、比べる前に調べる質問(費用、期間、違い、選び方、なぜ)を5つ選び、質問の形の見出しで答えるページかFAQにする
- 答えは最初の一文で結論を書き、その後に自社の具体(料金、事例、日数、地域)を続ける
- 会社名・住所・電話・営業時間を、ページの文と同じ内容で構造化データにも書く(CMSのプラグインで足りることが多い)
- 店舗型は、Googleビジネスプロフィールの営業時間・写真・説明を最新にする
- llms.txt は、上が終わってから。プラグインで自動生成できるなら、それで十分
AI検索対策の土台は、特別な対策ではなく「お客様の質問に文字で答える」こと
まとめ
- CVSCAN Labの602サイトのうち robots.txt を確認できた486サイトで、AIのクローラーを拒否しているのは9サイト(1.9%)。門はほぼ開いている
- 質問形の見出しが3つ以上あるのは28.1%、FAQが5問以上は28.6%、事業者の構造化データは32.4%
- 3つがそろうのは12.0%、どれも無いのは25.1%。物流・SaaS・整体・歯科・レンタルサーバーは高く、飲食・観光は0%、EC・製造・自動車・ブライダルは3%
- llms.txt は9.0%が置いていたが、3割強はプラグイン等の自動生成。Googleは、AI用のファイルは不要と明言している
- 先にやるべきは、調べる段階の質問に、質問形の見出しとFAQで答え、事業者情報を構造化データでも書くこと
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出典:Google検索セントラル「AI features and your website」/llmstxt.org/関連記事:AIの要約が出ると、クリックは15%から8%に(Pew Research)・構造化データとAI検索対策の実態






