本記事の数値について 海外側は、米国の調査機関 Pew Research Center が2025年7月に公表した調査(米国の成人900人の2025年3月の閲覧記録を分析したもの)と、Google検索セントラルの公式ガイド(2025年12月更新)から引用しています。いずれも2026年10月時点で公開されている本文を確認しました。米国の、Google検索だけを対象にした調査で、日本の利用者や、その後に始まったAIモードの数字ではありません。
検索すると、いちばん上にAIがまとめた答えが出る。もう、そこから先のリンクを押さなくても用が足りる。
Googleの検索結果にAIの要約(AI Overviews)が出るようになって、こう感じている方は多いと思います。では実際に、人はどれくらいリンクを押さなくなったのか。米国の調査機関が、実際の閲覧記録で測っています。
検索結果を押した割合
検索結果を押した割合
押された割合
出た検索の割合
Pew Research Center(2025年7月公表)。米国の成人900人の2025年3月の閲覧記録より
何を調べた調査か
Pew Research Center は、米国の世論や社会の動向を調べている非営利の調査機関です。この調査では、同意を得た米国の成人900人について、2025年3月の1か月間のブラウザの閲覧記録を分析しました。対象はGoogle検索だけで、6万8,879件の検索のうち、1万2,593件でAIの要約が表示されていました。
アンケートで「押しますか」と聞いたのではなく、実際に押したかどうかを記録から数えている点が、この調査の強みです。
要約が出た検索では、クリックはほぼ半分だった
結果は明快でした。
図① 検索結果ページを訪れたうち、リンクがクリックされた割合(Pew Research Center)
要約が出ないとき、検索結果のリンクが押されたのは訪問の15%。要約が出たときは8%で、ほぼ半分です。しかも、要約の中に出典として並ぶリンクが押されたのは、わずか**1%**でした。
もう一つ目を引くのが、検索のあとの行動です。結果ページを見たあと、そのまま閲覧をやめてしまった割合は、要約が出たときに26%、出ないときに16%でした。要約が出たときのほうが、そこで閲覧が終わることが多かったということです。
どんな検索で要約が出やすいか
調査期間中、AIの要約が出たのは検索全体の18%でした。ただし、検索の形によって大きく違います。
図② 検索の形ごとの、AIの要約が出た割合(Pew Research Center)
質問の形の検索では6割で要約が出ています。一方、1〜2語の短い検索では8%にとどまりました。
中小企業のサイトに置き換えると、こうなります。「地名+業種」のような短い検索(例:「藤沢 歯医者」)では、要約はまだあまり出ません。一方、「インプラント 費用 なぜ高い」「リフォーム 見積もり 何社」のような、比べる前に調べる段階の質問は、米国の調査で要約が出やすかった形に近いものです。日本語でも同じなら、お客様が最初に疑問を持つ場面で、要約だけで用が足りてしまう可能性があります。
要約は、どこから引用しているのか
要約の出典として多かったのは、Wikipedia、YouTube、Reddit でした。この3つで、要約の出典の15%、通常の検索結果の17%を占めています。政府のサイト(.gov)は、通常の検索結果では2%でしたが、要約の出典では6%と、比率が高くなっていました。
この3つの比率は、要約の出典のほうがわずかに低いくらいでした。比率の差が目立ったのは政府のサイトで、要約の出典では通常の検索結果の3倍でした。個別の中小企業のサイトが出典に選ばれるには、まずその質問に、そのページがはっきり答えていることが前提になると、CVSCAN Labは考えています。
Googleは何と言っているか
一方、Google は公式のガイドで、少し違う面を強調しています。Google検索セントラルの「AI機能とウェブサイト」によれば、Google は**AIの要約がある結果ページからのクリックは「質が高い」(サイトでより長く過ごす)**ことを確認している、としています。要約で基本的な疑問が解けた人が、もっと詳しく知りたくてクリックしてくる、という見方です。
そして同じガイドは、要約に出典として載るために追加の要件や特別な最適化は要らないと明記しています。AI専用のテキストファイルや、特別な構造化データ(ページの内容を機械が読める形で書き添えるもの)も不要。必要なのは、検索結果に説明文(スニペット)付きで表示される条件を満たしていること、つまり普通のSEOの基本だとしています。
Pew の調査が示したこと
- 要約が出た検索のクリックは8%(出ない検索は15%)
- 要約の中のリンクは1%
- 要約が出たときのほうが、そこで閲覧が終わることが多い(26%と16%)
Google が述べていること
- 要約からのクリックは質が高い
- 出典になるのに特別な対策は不要
- SEOの基本でよい
図③ Pew が測った数字と、Google の説明。来る人の質については、Google は数字を示していない
二つは、必ずしも矛盾しません。来る人の数は減っても、来る人はより詳しく知りたい人かもしれない。Google の説明どおりなら、サイトがやるべきことは、要約で済んでしまう浅い答えを並べることではなく、要約の先で「詳しく知りたい」と思った人に、具体的に答えることです。
この数字の限界
① 米国の、2025年3月の、Google検索だけの数字です。日本語の検索で同じ割合になるとは限りません。また、その後に始まったAIモード(会話形式の検索)は含まれていません。
② 「要約が出たからクリックが減った」とまでは言えません。要約が出やすい検索(質問の形)と出にくい検索(短い語)では、もともとクリックのされ方が違う可能性があります。
③ Google の「クリックの質が高い」は、Google自身の説明です。根拠となる数字は公表されていません。
中小企業のサイトは、何をすればいいか
- お客様が比べる前に調べる質問(費用、期間、違い、選び方、なぜ)を書き出す
- その質問に、見出しと最初の一文で答えるページを作る。出典に選ばれれば、要約で終わる人にも名前が届く
- 答えの先に、自社でしか出せない具体(料金表、事例、所要日数、対応地域)を置く。要約からクリックしてくる人が、より詳しい情報を求めているなら、ここが答えになる
- Googleが挙げる基本を守る:robots.txt(検索エンジンの巡回を許すかどうかを書くファイル)でクロールを止めていない、内部リンクでたどれる、大事な内容が文字で書かれている、構造化データが見えている文と一致している
- 店舗型なら、Googleビジネスプロフィールの情報を最新に保つ(Googleのガイドが明記している)
特別なAI対策より、「質問に文字で答える」と「SEOの基本」。Googleのガイドもそう書いている
まとめ
- Pew Research Center の調査(米国、2025年3月)で、AIの要約が出たとき検索結果が押されたのは8%。出ないときの15%のほぼ半分だった
- 要約の中のリンクが押されたのは1%。結果ページを見たあとで閲覧が終わった割合は、要約が出たときに26%、出ないときに16%だった
- 要約が出たのは検索の18%。質問の言葉で始まる検索では60%、1〜2語の短い検索では8%
- Google は、要約からのクリックは質が高く、出典になるのに特別な対策は要らない(SEOの基本でよい)と述べている
- 中小企業のサイトは、お客様が調べる段階の質問に、見出しと文字ではっきり答え、その先に自社だけの具体を置く
では、国内のサイトはこの準備ができているのか。次の記事で、20業種602サイトの「AIの要約に引かれる準備」を実測した結果をお見せします。
コンバージョン偏差値スキャナーでは、AI検索対策(LLMO)を含む4軸50項目でサイトを採点し、改善の優先順位を示しています。URLを入れるだけで、最短60秒・登録不要で結果が表示されます。
出典:Pew Research Center「Google users are less likely to click on links when an AI summary appears in the results」/Google検索セントラル「AI features and your website」






