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2026.10.31読了目安 約15分

反応が遅い国内サイトほど、広告と計測のタグが多かった。広告・SNS計測の事業者が8社以上のサイトは61%がINP不合格

実際の利用者の計測(INP)があった国内463サイトを測り直し、どの事業者のプログラムがブラウザの処理を使っているかを集計しました。不合格サイトは合格サイトに比べてスクリプトが2.6倍、第三者のプログラムの処理時間が約3倍。広告・SNS計測の事業者が8社以上のサイトは61%が不合格でした。業種ごとの傾向と、外す順番を整理します。

本記事の数値について 10月24日の記事「国内602サイトの表示速度を測り直した」で PageSpeed Insights(スマホ)を測り直した、CVSCAN Labが実測している20業種602サイトのうち、実際の利用者の反応速度(INP)のデータがあった463サイトについて、2026年10月21日にもう一度PSIを呼び、どの事業者のプログラムがブラウザの処理をどれだけ使っているか(Lighthouseの「サードパーティ」の内訳)を集計しました。処理時間はGoogleのテスト環境(中くらいの性能のスマホを想定)での値、合否は実際の利用者の直近28日間の計測です。事業者はLighthouseの分類にもとづき、表では日本語の名前に直しています。個々のサイト名は出しません。

前回は、「押してから画面が動くまで」を測るINPという指標と、海外サイトの改善例を紹介しました。国内602サイトの実測では、速度の基準で最も多くつまずいているのがこのINPで、463サイト中133サイト(28.7%)が不合格でした。

では、何が反応を遅くしているのか。合格したサイトと不合格のサイトで、中身を比べてみました。

61%広告・計測の事業者が8社以上の
サイトのINP不合格率
2.6倍不合格サイトの
スクリプト数(71 vs 27)
66%ブラウザの処理のうち
第三者コードの割合
112/133処理を最も使う事業者が
Googleタグマネージャー

国内463サイト(実測INPあり)のPSI再計測(2026年10月)。処理時間はテスト環境の値、合否は実際の利用者の計測

不合格サイトは、読み込むプログラムが2.6倍

まず、合格と不合格のサイトで、ページを開いたときに何が起きているかを並べます。

読み込むスクリプトの数71 vs 27
第三者コードが処理を使う時間3,031 vs 1,032ms
自社のプログラムが処理を使う時間1,123 vs 577ms
処理を妨げる時間(TBT)1,822 vs 505ms
画面の部品(DOM)の数1,458 vs 998

図① INP不合格サイト(133)と合格サイト(330)の中央値の比較。「vs」の左が不合格

不合格のサイトは、読み込むスクリプトが2.6倍、第三者のプログラムが処理を使う時間が約3倍です。自社で作ったプログラムの時間も2倍ありますが、差が大きいのは明らかに第三者側です。

ブラウザの処理時間の内訳を見ると、全サイト平均でスクリプトの実行が50%、解析と準備が14%。画面の描画や配置は合わせて13%にすぎません。ページを読み込むときの処理の大半は、見た目の作りではなく裏で動いているプログラムが占めています。そして、その処理時間のうち中央値で66%(不合格サイトでは71%)を、自社ではなく第三者のコードが使っています。

第三者コードが2秒を超えると、半分以上が不合格

第三者のプログラムが処理を使う時間で区切ると、境目がはっきり見えます。

0.5秒未満(83サイト)12.0%
0.5〜1秒(99サイト)10.1%
1〜2秒(117サイト)16.2%
2秒以上(164サイト)57.3%

図② 第三者コードがブラウザの処理を使う合計時間(テスト環境)別の、INP不合格率

2秒までは不合格率が1〜2割で推移し、**2秒を超えると57.3%**に跳ね上がります。前回紹介した世界の報告が「メインスレッドの占有が深刻化している」と書いていたのは、国内ではこの形で現れています。

何が入っているのか。ほぼ全サイトにタグマネージャー、6割にSNS計測

では、第三者のプログラムとは具体的に何か。463サイトでの導入率と、入っているサイトの不合格率を並べます。

事業者(Lighthouseの分類) 導入率 導入サイトの不合格率
Google タグマネージャー 95% 29%
Google アナリティクス 91% 28%
Google 広告 79% 34%
Google Fonts 66% 26%
Facebook(Meta ピクセル等) 61% 41%
Yahoo! 広告 58% 41%
Microsoft Clarity 49% 37%
Bing 広告 31% 54%
X(Twitter)計測 31% 57%
LINE 28% 55%
TikTok 19% 72%
Criteo 16% 68%

全体の不合格率が28.7%なので、タグマネージャー・アナリティクス・Fontsを入れているサイトの不合格率は平均と変わりません。平均を大きく上回るのは、広告の計測タグです。TikTokを入れているサイトの72%、Criteoの68%、X計測の57%が不合格でした。

ただし、これは「TikTokのタグが重い」という意味ではありません。TikTokのタグを入れているサイトは、他の広告タグも多く入れている傾向があります。問題はタグの種類より、数です。

ここでの「タグの数」は、Lighthouseが分類した広告・SNS計測の事業者の数です。同じ会社のタグを何本入れていても1と数えています。広告の成果を測るタグのほか、サイトに広告を表示するための仕組みも含みます。

0社(81サイト)11.1%
1〜2社(92サイト)7.6%
3〜4社(69サイト)15.9%
5〜7社(89サイト)29.2%
8社以上(132サイト)60.6%

図③ 広告・SNS計測タグの事業者数別の、INP不合格率。合格サイトの中央値は3社、不合格サイトは10社

広告・SNS計測の事業者が4社までなら不合格率は1割台。5〜7社で約3割、8社以上では6割です。合格サイトの中央値が3社、不合格サイトが10社。タグの数の差と、反応の差が一緒に見られます。

「最も処理を使う事業者」は、133サイト中112がGoogleタグマネージャー

不合格のサイトで、処理時間を最も使っている事業者を1つずつ見ると、133サイト中112サイトがGoogleタグマネージャーでした。Lighthouseは、処理時間を読み込み元のURLごとに事業者へ振り分けます。「Google タグマネージャー」に数えられるのは googletagmanager.com から読み込まれるプログラムです。MetaやTikTok、LINEなど各社のサーバーから読み込まれるタグは、タグマネージャー経由で入れていても、それぞれの事業者として別に数えられます。Googleタグマネージャーに数えられた処理時間は、合格サイトで中央値569ミリ秒、不合格サイトで1,558ミリ秒と、約3倍の差がありました。

中小企業のサイトでは、次のような形でタグが増えていくことがあります。広告代理店が変わるたびに新しいタグが足され、前のタグは「消していいか分からない」ので残る。アクセス解析、ヒートマップ、チャット、LINE連携。それぞれは小さくても、箱の中で10個、15個と積み上がったとき、利用者がボタンを押した瞬間に、その時に動いている処理の後ろで、ボタンの処理が順番待ちになることがあります。

業種で見ると、広告・計測のタグが多い業種ほど不合格が多い

人材・採用(11社)62%
教育・スクール(13社)50%
EC・小売(11社)48%
建築・リフォーム(10社)48%
(全体・4社)29%
製造業(1社)13%
士業(1社)11%
飲食(1社)10%

図④ 業種別のINP不合格率(上位4業種と下位3業種、実測データが25サイト以上ある業種)。カッコ内は広告・SNS計測の事業者数の中央値

人材・採用、教育・スクール、EC・小売、建築・リフォーム。不合格率が高い4業種は、どれも広告・SNS計測の事業者数の中央値が10社以上です。広告で集客し、SNSで追いかけ、その成果を測るためにタグを増やす。集客に熱心な業種ほど、肝心の問い合わせの場面で画面が引っかかる、という皮肉な構造です。

一方、飲食・士業・製造業は広告・SNS計測の事業者が1社程度で、不合格率は1割台。広告・計測のタグが少ない業種では、不合格のサイトも少なくなっています。

この数字の限界

読むときに気をつけたい3点

① 相関であって、因果の証明ではありません。タグが多いサイトは、ページも複雑で自社のプログラムも多い傾向があります。ただし自社プログラムの差(2倍)より第三者の差(3倍)の方が大きく、第三者の時間だけで区切っても不合格率が2秒を境に跳ね上がることから、主因と見るのは妥当だと考えています。
② 処理時間はGoogleのテスト環境の値です。中くらいの性能のスマホと遅めの回線を想定した値なので、実際の利用者の端末での時間とは一致しません。合否の判定には実際の利用者のデータを使っています。
③ 実測INPがあるサイトだけの集計です。アクセスが少なくデータが無い138サイトは含まれていません。

自社サイトで何から外すか

広告のタグは、効果測定のために入れているものなので、「全部外せ」とは言えません。順番の問題です。

  • タグマネージャーの中身を棚卸しする。配信中のタグを一覧にして、「今の代理店が使っているか」「過去1年で設定を見た人がいるか」で仕分ける。誰も答えられないタグは止める
  • 終わった広告の計測タグを外す。出稿をやめた媒体のタグが残っていることはよくある。ほかの計測に使っていないかを確かめてから止める
  • 同じ目的のツールを1つにする。ヒートマップやアクセス解析が複数入っていないかを確かめる
  • チャットや動画の埋め込みは、押されてから読み込む設定に。ページを開いた瞬間に全部動かす必要はない
  • 外したあと、PageSpeed Insights の診断にある「サードパーティ」を開き、事業者ごとの「メインスレッド時間」の合計が2秒を切っているかを確認する(2秒は今回の463サイトで不合格が急に増えた境目で、Googleの基準ではない)。実際の利用者のINPは、28日ほど経つと反映される

外す順番は「誰も使っていないもの」から。広告・計測の事業者が4社以下なら、不合格率は1割台

前回紹介したredBusの例は、自社のプログラムの処理を減らして売上が7%増えた話でした。国内の中小企業のサイトでは、自社で何かを作り直す前に、箱の中のタグを数えて減らすだけで、同じ方向に動く余地があります。

まとめ

コンバージョン偏差値スキャナーでは、表示速度を含む50項目でサイトを採点し、改善の優先順位を示しています。URLを入れるだけで、最短60秒・登録不要で結果が表示されます。

出典:Google「PageSpeed Insights について」/web.dev「Interaction to Next Paint」/関連記事:国内602サイトの表示速度を測り直した・INPとは何か、海外の改善例

この記事を引用するとき:CVSCAN Lab「反応が遅い国内サイトほど、広告と計測のタグが多かった。広告・SNS計測の事業者が8社以上のサイトは61%がINP不合格」(2026.10.31公開、コンバージョン偏差値スキャナー)https://cvscan.jp/column/overseas-inp-japan-sites

この記事の観点で、自社サイトはどうか

記事で触れた項目を含む4軸50項目を、URLひとつで採点します。同業種の中での偏差値と、今日から着手できる改善案まで。結果はその場で表示、最短60秒です。

記事の数値の集計方法は 調査方法と採点基準 をご覧ください。

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記事の監修

CVR改善コンサルタント

2007年、Eコマースビジネスの立ち上げを機にWeb解析の世界に触れ、以降、サイト分析から改善アクションのPDCAを粘り強く回し続けた結果、1年で2億円規模の事業へと成長させる。

10年以上にわたり、中小企業から大企業まで累計100社を超えるBtoB企業のコンバージョン率改善(CRO)で成果を上げている。

近年はAIを活用した分析・改善業務の効率化と、生成AI検索時代のマーケティング戦略に注力。

この診断プログラムは、普段の有償コンサルティングで最初に確認している観点を、そのまま自動化したものです。採点基準と改善提案の文面を監修しています。

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