サイト診断(Webサイト診断)とは、Webサイトの現状を客観的に点検し、課題を洗い出して改善につなげるための作業です。SEOだけでなく、ユーザビリティ、セキュリティ、アクセス解析まで横断して確認することで、集客・コンバージョン・信頼性を総合的に底上げできます。
ただ、いざ手を動かそうとすると「どこから、何をどこまで見ればいいのか」で止まります。無料ツールを走らせれば指摘は何十件も出てきますが、その指摘が自社の売上にどれくらい効くのかまでは教えてくれません。直しやすい項目から順に潰し、工数だけかかって成果は変わらない、という進め方になりがちです。
私たちは20業種603サイトを同一基準で診断し、結果を公開しています。見えてきたのは、多くのサイトが同じ場所でつまずくという事実でした。どれも特殊な事故ではなく、業種を問わず一定割合で発生するありふれた穴です。
603サイト中181件
図① 業種を問わず発生している「ありふれた穴」。20業種603サイトの実測(2026年9月12日時点)。構造化データ皆無も45%
本記事の実測値について 文中の数値は、20業種603サイト(1業種30件、美容・サロンのみ33件)を同一基準で診断した2026年9月12日時点のデータです。対象の選び方、採点方法、この診断で分からないことは調査方法と採点基準に公開しています。ガイド記事のため、母数が増えた時点で本文の数値は更新します。
サイト診断で確認する4つの観点(SEO・ユーザビリティ・セキュリティ・アクセス解析)
サイト診断はエラー探しではなく、成果が出ない理由を構造的に特定するための棚卸しです。よくある失敗は、SEOだけ、表示速度だけと一部の指標に偏って改善し、全体の成果につながらないことです。基本は4つの観点で捉えると整理できます。
| 観点 | 何を守っているか | 崩れたときに起きること |
|---|---|---|
| SEO | 検索エンジンに見つけられ、正しく理解される土台 | 良い中身を作っても流入が発生しない |
| ユーザビリティ | 訪問者が迷わず目的を達成できる導線 | 流入はあるのに問い合わせが増えない |
| セキュリティ | 利用者の安全と、サイトを動かし続ける前提 | 警告表示・改ざん・信用の毀損。集客以前に止まる |
| アクセス解析 | 施策の当たり外れを判定する仕組み | 何が効いたか分からず、間違った施策を続ける |
4観点は独立ではなく連動します。表示速度はSEOにもユーザー体験にも効きますし、セキュリティの警告表示はSEO評価以前に離脱を招きます。どの観点の問題が最終的なKPI(問い合わせ、予約、購入など)を止めているかまで意識して確認してください。
図② サイト診断の4観点。前の3つは「サイトの状態」を、最後の1つは「判定の物差し」を点検する
このうちアクセス解析だけは性質が違います。他の3つが「サイトの状態」を見る話なのに対して、これは「自分たちの見ている数字が正しいか」を見る話だからです。ここが狂っていると、他をどれだけ丁寧に診断しても改善の成否を判定できません。
広告管理画面やツール上のコンバージョンが「ボタンのクリック」で数えられていて、実際に獲得できた件数とは別物になっている状態は実務で起きます。この状態で最適化すると、プラットフォームはその代替指標を最大化しやすい人を集めにきます。結果、管理画面で最も成績の良い広告が、実際の獲得効率では最も悪いという逆転が発生します。入口でこの切り分けを飛ばすと、その後は間違った勝者を選び続けることになります。
SEO診断で見るポイント
SEO診断の要点は、順位が上がらない原因が技術・コンテンツ・外部評価のどこにあるかを切り分けることです。インデックスされていないページのタイトルをいくら直しても成果は出ません。逆に、重要ページが誤ってnoindexになっている、canonicalが誤っている、内部リンクが途切れているといった問題は、少ない修正で大きく改善する典型です。事業への影響が大きいページから点検するのが基本です。
技術的SEO(インデックス・モバイル・表示速度・構造化データ)
技術的SEOは、検索エンジンがページを取りに来て、理解し、検索結果に出すまでの「通行許可」と「地図」を整える作業です。603サイトの実測では、これが欠けている割合が想像より高いことが分かりました。
| 項目 | 該当 | 割合 | 起きること |
|---|---|---|---|
| canonical未設定(トップページ) | 181件 | 30% | 重複URLで評価が分散しうる |
| sitemap.xml が無い | 136件 | 22.6% | ページ一覧を提示できていない |
| robots.txt が取得できない | 116件 | 19.2% | クロール方針を伝えられていない |
| OGP(og:title・og:imageとも)未設定 | 131件 | 21.7% | SNSでシェアされても情報が出ない |
| H1が「無い」「重複」「titleと矛盾」のいずれか | — | 88% | ページの主題が機械に伝わらない |
| 構造化データ(JSON-LD)が1件も無い | 273件 | 45% | 事業内容を構造的に読ませられない |
母数はいずれも603サイト(2026年9月12日時点)です。
図③ 技術的SEOの未対応率。20業種603サイトの実測(2026年9月12日時点)
まず確認するのはクロールとインデックスです。noindexの付け間違い、robots.txtでのブロック、サイトマップ未整備、canonicalの誤設定は、重要ページが検索に出ない原因になります。canonical未設定が30%、sitemap.xml未設置が22.6%という実測は、ここが「基本すぎて誰も確認していない」領域であることを示します。表示速度は、点数の赤さに振り回されないことが大切です。国内602サイトを PageSpeed Insights(スマホ)で測り直すと、テストでのメイン表示は中央値16.4秒で、2.5秒以内は1.9%しかありませんでした。ところが実際の利用者の計測では、速度の基準(Core Web Vitals)を満たすサイトが56.0%と、世界の48%を上回っています(国内602サイトの表示速度を測り直した結果)。まず「実際のユーザーの環境」の評価を見て、不合格ならどの指標かを確かめます。国内で最も多い不合格の理由は、表示ではなく**操作への反応(INP)**で29.1%。原因の多くは広告・計測タグの積み重ねでした(INPを悪くしている原因の実測)。
構造化データは、正しく入っていれば検索結果上の見え方を改善できますが、誤りがあると無効化されます。実測では603サイト中273件・45%が1件も持っていません。実装済みのサイトも、CMSが自動出力する「器」の情報で止まっていることが多く、店舗の営業情報を表す LocalBusiness は19件・3%でした。来店・来院がゴールの302サイトに限っても、実装は39件だけです(構造化データとAI検索の実態)。あわせて404や不適切な301/302も点検します。内部リンク21,716件の検査では、リンク切れが1件以上あったサイトが11.9%ありました。
コンテンツ品質(タイトル・見出し・重複・内部リンク)
コンテンツ品質の診断は、ページが検索意図への「答えとして成立しているか」と「サイト内で迷子にしないか」を見る作業です。文字数やキーワード出現率よりも、誰のどんな疑問を解消し、次に何をしてもらうかが一貫しているかが重要です。
実測が示すのは、見出しが内容の良し悪し以前に構造として壊れていることが多いという事実です。H1が無い・重複・titleと矛盾のいずれかに該当するサイトは88%。原因の多くは執筆者の判断ではなくテンプレートの作りにあります。ロゴ画像をH1にしている、全ページ共通の見出しがH1になっているといった作りは、一度直せば全ページに効きます。
重複・類似コンテンツは、評価の分散やカニバリゼーション(似た記事同士で順位を奪い合う状態)を引き起こします。統合・リライト・役割分担で整理し、薄いページは削除も選択肢に入れます。内部リンクは、評価を渡すためだけでなくユーザーの次の行動を作る設計です。パンくずやカテゴリ設計も含め、情報のありかが説明できる状態に整えると、回遊とコンバージョンの両方が改善します。実測では、パンくず表示の対象591サイトの平均は55点、35.2%が50点未満でした。
外部評価(被リンク・サイテーション)
外部評価は、検索エンジンから見た信頼度を左右します。被リンクは数より、リンク元の関連性や信頼性、張られ方が重要で、急激で不自然な増減は兆候として把握しておきます。サイテーションはリンクが無くてもブランド名やURLが言及される状態を指し、指名検索や外部露出の裏付けになります。
なおこの領域は、公開HTMLを解析する私たちの診断では判定していません。スコアに出ていないから問題が無い、という意味ではない点に注意が必要です。
ユーザビリティ診断で見るポイント
ユーザビリティの改善は、SEOより短期で成果が出やすいことがあります。流入はあるのに問い合わせや購入が伸びない場合、原因はコンテンツ量ではなく迷い・不安・手間のどれかであることが多いからです。
診断では、ユーザーの目的を1つに決めてシナリオで確認します。「料金を知りたい」「比較したい」「相談したい」といった目的ごとに、スマートフォンでトップページから3分以内に到達できるかを見ます。
導線・ナビゲーション・フォームの使いやすさ
603サイトの実測で「次の一手」が特に弱いと分かったのが、次の項目です。
| 項目 | 実測値(603サイト・2026年9月12日時点) |
|---|---|
| 追従CTAが低評価(スクロール後に導線が残らない) | 360件・60% |
| モバイルのページ丈が10,000pxを超える | 239件・40% |
| ヘッダーCTAが低評価(40点以下) | 197件・33%。うち0点が119件・20% |
| 問い合わせフォームを検出できない | 287件・47.6% |
| 押せる要素の4割以上が推奨サイズ未満 | 347件・58%(モバイル計測が取れた600件中) |
| 電話番号はあるが tel: リンクになっていない | 76件・13%(番号を検出できた275件では28%) |
360件
239件
287件
347件(600件中)
図④ 「次の一手」の弱さ。20業種603サイトの実測(2026年9月12日時点)
CTAは多ければ良いわけではなく、ページの文脈に合っていることが重要です。情報収集中の人にいきなり購入を迫るより、資料請求や事例、料金表といった中間ゴールを用意したほうが前に進みます。ここで見落とされやすいのが、導線は「足す」より「序列を直す」ほうが効くことがあるという点です。複数のCTAを並べている場合、需要の大きい導線が一等地に置かれていないことがよくあります。既存のアクセス解析で各導線のクリック比率を見れば、序列のねじれは施策を打つ前に分かります。そして同じ役割の導線を重ねても、効果は合算されません。
実測の側から言えば、追従CTAが低評価のサイトが60%ある一方で、ページ丈が10,000pxを超えるサイトが40%あるという組み合わせが問題です。この2つが重なるサイトは、コンテンツを増やすほど取りこぼしが増えます。ヘッダーCTAに至っては0点と90点に二極化しており、中間がほとんどありません。「うまい・へた」の差ではなく、設計思想として入れているか、発想そのものが無いかの差です。
フォームはコンバージョンの最後の関門です。実測では、そもそも問い合わせフォームを検出できないサイトが287件・47.6%ありました(医療・クリニック83.3%、飲食76.7%)。何らかの代替導線があるサイトは97.2%ありますが、タップ1回で発信できるtel:リンクとして機能しているのは31.7%です。電話番号はあるのにタップで発信できないサイトも、番号を検出できた275件のうち28%ありました。
フォームがある場合は中身を点検します。項目数の中央値は7、11項目以上が25%、必須マークが1つも無いものが55%。入力支援の面では、autocomplete属性を1つも使っていないサイトが280件・46%、tel/emailなどのtype属性が未指定のサイトが141件・23%でした。type属性を正しく設定するだけでスマートフォンのキーボードが切り替わります。属性1つの書き換えで済む改修です。
図⑤ フォームの中身の実測(20業種603サイト・2026年9月12日時点)。type属性は属性1つの書き換えで直る
入力支援は実装コストが低く即効性もありますが、副作用もあります。入力途中でバリデーションが走る設計にすると、特定項目のエラー率が見かけ上跳ね上がることがあるため、導入後は項目別のエラー率まで見てください。入力例も、フォーマットが利用者の実態とずれていると違和感を生みます。特に自由記述欄は「何を書けばいいか分からない」不安が離脱の主因になりやすいため、例示は多数派の実態に合わせ、任意であることを明示します。なお実測では、プライバシーポリシーへの言及も同意チェックボックスも無いフォームが29%ありました。
アクセシビリティ(読みやすさ・代替テキスト・コントラスト)
アクセシビリティは一部の人のためではなく、すべてのユーザーにとっての使いやすさの底上げです。最低限確認したいのは、文字サイズと行間、見出し構造、色コントラスト、画像の代替テキスト、フォームのラベル付けです。
タップ領域の実測は、この観点の重要さをはっきり示しました。モバイル計測が取れた600件で、押せる要素の4割以上が推奨サイズ未満のサイトが347件・58%。さらに介護・福祉、医療・クリニック、整体・治療院という**高齢者が主要顧客層の3業種では90件中59件・66%**と全体より高くなっています。顧客層の指先の動きを最も配慮すべき業種で、押しにくいボタンが多いという逆転が起きています(タップ領域の業種別実測)。
セキュリティ診断で見るポイント
セキュリティ診断は、ユーザーの安全とサイト運用継続のための必須工程です。改ざんやマルウェア混入が起きると、ユーザー被害だけでなく、検索エンジンの警告表示やアクセス減少など事業面の損失が大きくなります。「何か起きてから」では遅い領域です。
診断では自サイトだけでなく、参照先も対象にします。計測タグ、広告、埋め込みウィジェットは便利な反面、混入経路になり得るため、棚卸しして不要なものは削除します。
なおこの観点は、私たちの603サイト診断では実測データを取っていません。公開HTMLの静的解析では脆弱性や管理画面の設定まで判定できないためです。以下は一般的な点検項目として読んでください。
HTTPS/SSL・脆弱性・管理画面の設定
HTTPS/SSLは基本中の基本です。証明書が有効か、httpからhttpsへの転送が意図通りか、Mixed Content(httpsのページでhttpの素材を読み込んでいる状態)が残っていないかを確認します。Mixed Contentは警告や機能制限の原因になり、信頼を落としやすいポイントです。
CMSやプラグイン、ライブラリの既知の脆弱性は、放置すると攻撃の入口になります。アップデート方針を決め、更新が止まっている拡張機能は代替を検討します。
管理画面の保護は被害規模を左右します。二要素認証、権限設計、推測されにくいURL、必要に応じたIP制限を実施し、不要な公開ファイルの露出が無いかも点検します。バックアップと復旧手順、監視があれば、万一のときの損失を最小化できます。
- SSL証明書が有効で、httpからhttpsへの転送が意図通りに動いている
- Mixed Content(httpsページ内のhttp素材)が残っていない
- CMS・プラグイン・ライブラリの更新方針が決まっている。更新が止まった拡張機能は代替を検討済み
- 管理画面に二要素認証・権限設計・推測されにくいURL・必要に応じたIP制限を入れている
- 不要な公開ファイルが露出していない
- 計測タグ・広告・埋め込みウィジェットを棚卸しし、不要なものは削除した
- バックアップと復旧手順、監視がある
図⑥ セキュリティの点検項目(603サイト診断の実測対象外。一般的な手順として示す)
無料で使えるサイト診断ツールの選び方
無料ツール選びは、機能の多さより「診断の目的」と「次のアクションに繋がるか」で決めます。無料版はクロール上限や計測回数に制限があることが多く、サイト規模が大きいほど取りこぼしが出ます。全ページを完璧に測ろうとせず、重要ページを確実に測る設計にするほうが現実的です。
目的別:無料サイト診断ツール(SEO/ユーザビリティ/セキュリティ/アクセス解析)
診断はツールの組み合わせが基本です。1つのツールで4観点すべてをカバーすることはできません。
| 観点 | 使う道具の種類 | 分かること | 分からないこと |
|---|---|---|---|
| SEO | 検索エンジンの管理コンソール、速度計測ツール | インデックス状況、検索クエリ、表示回数とクリック、Core Web Vitals | 検索意図とのズレ、競合との相対評価 |
| ユーザビリティ | アクセス解析、ヒートマップの無料枠、静的診断ツール | 離脱の多いページ、止まっている位置、導線やフォームの実装状態 | 「なぜ」止まったのかの理由 |
| セキュリティ | 危険判定・マルウェア兆候のチェックサービス、証明書の確認ツール | 外形的な危険兆候、証明書の状態 | CMS内部の脆弱性、管理画面の設定 |
| アクセス解析 | アクセス解析ツール、タグの動作確認ツール | 流入経路、ページ別の貢献、コンバージョンまでの経路 | 計測設定そのものが正しいかどうか |
右端の列が重要です。どのツールにも測れない領域があり、そこは自分で確認するしかありません。
私たちのコンバージョン偏差値スキャナーも同じです。URLを入力すると603サイトと同じ基準で4軸を採点し、同業種内の偏差値を表示しますが、GA4やSearch Consoleの実データは見ていません。公開HTMLから機械的に得られる情報だけで診断しているため、実際の流入数、直帰率、コンバージョン数、検索順位は判定材料に含まれません。これは仕様上の限界であって、隠すべきことではないと考えています。ツールを選ぶときは、この種の限界をどこまで明示しているかを判断材料の1つにしてください。
無料のWebサイト診断のやり方:最初の30分でできる点検
ツールを選ぶ前に、まず無料で、30分ほどでできる点検があります。順番に見るだけで、大きな取りこぼしはたいてい見つかります。
図⑥ 無料でできる最初の点検。①②は Google の無料ツール、③④は自分の手、⑤は診断ツール
③と④は、どのツールも代わりにやってくれません。特にフォームは、送信できない・完了画面に飛ばない・コンバージョンが数えられていない、という3つの事故が、見た目では分からないまま続いていることがあります。
そして、順序があります。計測が整っていない状態で改善を始めると、その期間の工数と予算が誤った最適化に費やされます。計測 → 入口(広告や検索とページの整合)→ 磨き込み。この順で進めるのが、結果的にいちばん安く済みます。
図⑦ 改善の順序。計測が整う前に磨き込みを始めると、工数と予算が誤った最適化に費やされる
診断結果の読み方と注意点(誤解しやすいケース)
いちばん多い誤解は、ツールのスコアをKPIにしてしまうことです。スコアが上がっても、重要ページがインデックスされていない、フォームが使いにくいのなら成果は出ません。診断結果はあくまで仮説の材料です。私たちが出す偏差値も同じで、各業種の母数は30件前後です。この規模では外れ値が1〜2件あるだけで標準偏差が動くため、偏差値は順位の目安として読み、1〜2ポイントの差に意味を求めないでください。
次に多いのは、指摘の影響範囲を見誤ることです。テンプレート共通の問題は一度直せば全ページに効きますが、個別ページの軽微な指摘を大量に直しても効果は小さいままです。まずは共通要素、次に売上や問い合わせに近いページ、最後に周辺ページの順です。
✕ 誤解しやすい読み方
- ツールのスコアをKPIにする
- 偏差値の1〜2ポイント差に意味を求める
- 個別ページの軽微な指摘から大量に直す
- 中間指標が改善したら成果が出たとみなす
○ 正しい読み方
- 診断結果は仮説の材料。成果は最終指標で見る
- 偏差値は順位の目安(各業種の母数は30件前後)
- テンプレート共通 → 売上に近いページ → 周辺ページの順
- 検証前に中間・最終の両方の指標を決めておく
図⑧ 診断結果の読み方。何を直せば最終指標が動くかを読む
そして最も注意すべきなのが、中間指標と最終指標がねじれるという現象です。中間指標の改善は、それ自体が成果ではありません。必ず最終指標まで接続して見ること、そして検証を始める前に中間・最終の両方の指標を決めておくことが必要です。
ファーストビューやフォーム上部の離脱率が改善したのに、最終的なコンバージョン率は悪化する。ヒートマップ上の注目度が上がったのに、コンバージョンは下がる。中間指標だけを見て「改善した」と判断すると、悪化させたまま次の施策に進むことになります。
なおリダイレクト設計やcanonicalの変更は、評価の受け渡しを誤ると順位や流入が大きく落ちます。警告や不審な挙動が出ている場合は、スコア改善より優先して原因を切り分けてください。
セルフチェック
自分の目で確かめられる12項目
SEO
ユーザビリティ
セキュリティ
アクセス解析
基本から見直す余地があります
0 / 12
ここで確かめられるのは、50項目のうち自分の目で見える12項目だけです。構造化データの妥当性、タップ領域のサイズ、フォームの入力支援など、残りの38項目は機械でしか測れません。
残りの38項目を無料で診断する登録不要・最短60秒・同業種の中での偏差値が出ます
チェックを入れると集計されます。入力内容はブラウザ内でだけ扱い、送信されません。
サイト診断後の改善手順(優先順位付け→実装→効果測定)
診断は改善計画に落とし込んで初めて価値が出ます。まず課題を一覧化し、影響度(CVや流入への影響)、緊急度(セキュリティやインデックス阻害)、実装コスト(工数やリスク)の3つで優先順位を付けます。
診断で直すべき箇所が見えると、すぐにでも直したくなります。その気持ちをいったん抑えて、直すこと・足すことごとに「それをして、どうなりたいか」を書き出してください。
頭の中ではなく、メモ帳でかまいません。数字で確かめられる目標(KPI)として言葉にしておけば、直した後に、効いたかどうかを判断できます。
| 優先度 | 該当する状態 | 例 |
|---|---|---|
| 最優先 | 事業が止まる/検索に出ない | セキュリティ警告、重要ページのnoindex、フォームの送信エラー |
| 高 | テンプレート共通で、低コストで直せる | tel:リンク化、type属性・autocompleteの付与、H1の修正、canonical設定 |
| 中 | コンバージョンに近いページの導線設計 | CTAの序列見直し、追従CTAの設置、料金・事例ページの整備 |
| 低 | 個別ページの軽微な指摘 | 単発ページの文言調整、影響範囲の狭い装飾の修正 |
次に実装です。変更点は最小単位で管理し、いつ、どこで何を変えたかを記録して元に戻せる状態にしておきます。原則は3つです。
- **複数の施策を同時に入れない。**3つ同時に実装すると、どれが効いたのかを分離できません。1施策ずつ、または効果が独立していると説明できる組み合わせに絞ります
- **本番を直接触らない。**現行ページを複製して改修版を作れば、結果が悪くても本線は無傷で切り戻せます
- **見た目の変更を軽く見ない。**配色やコントラストといった視覚要素だけでも完了率は動きます。無駄なのは「見た目の変更」ではなく「目的の無い見た目の変更」です
- 複数の施策を同時に入れる(どれが効いたか分離できない)
- 本番ページを直接触る(その期間のコンバージョンを丸ごと落とす)
- 目的の無い見た目の変更をする(何の摩擦を減らすためか決まっていないと検証できない)
- いつ・どこで・何を変えたかを記録しない(元に戻せない)
図⑨ 実装でやってはいけないこと。変更は最小単位で管理し、元に戻せる状態を保つ
効果測定では、順位だけでなく表示回数、クリック率、インデックス状況、回遊、コンバージョン率など施策に合う指標を見ます。効かなかった場合も失敗ではなく、仮説が違ったという情報が得られます。進め方の詳細はサイト改善の進め方で扱っています。
改善しても成果が出ないときのチェック項目
正しく改善したはずなのに成果が動かない。切り分けは次の順で行います。
図⑩ 成果が出ないときの切り分け。番号は本文のチェック項目に対応
**1. そもそも数え方が合っているか。**最初に疑うのはここです。管理画面上のコンバージョンが実際の獲得と別物になっていることがあります。イベント設定の漏れ、重複計測、タグの発火条件、キャッシュで古い表示が残っていないかなど、観測側の点検を先に済ませてください。
**2. 中間指標だけを見ていないか。**離脱率が下がった、スクロール率が上がった、クリック数が増えた。これらはすべて中間指標です。最終的な問い合わせや売上まで接続して確認しないと、改善したつもりで悪化させている可能性を消せません。
**3. 検索意図とターゲットが合っているか。**順位が上がっても問い合わせが増えない場合、キーワードの意図が情報収集寄りで商談に繋がりにくい可能性があります。広告を使っているなら、広告で作った期待と着地したページの第一印象が揃っているかも確認してください。ページ単体をいくら磨いても、入口のズレは解消しません。
**4. コンバージョンの手前で条件を読まれていないか。**料金や条件を掲載したページは、コンバージョンの手前で熟読されています。条件が不利な内容に変わると、流入がまったく同じでもCTAのクリックだけが落ちます。料金ページは「料金を伝えるページ」ではなく「離脱が発生するコンバージョンページ」として扱うべきです。
実測でも、この領域の弱さは明確です。料金・価格の透明性は603サイト平均55点、19.4%が50点未満。業種別では製造業が37点でした。あわせて事例・実績の見せ方は平均50点で51.9%が50点未満、信頼要素の配置は平均59点で31.2%が50点未満です。コンバージョンの直前に読まれるページが、半数近いサイトで落第点に近い状態にあります。
19.4%が50点未満
51.9%が50点未満
31.2%が50点未満
図⑪ コンバージョンの直前に読まれる要素の採点。20業種603サイトの実測(2026年9月12日時点)
**5. CTAの文言が実態と合っているか。**所要時間などを実態より短く見せると、クリック後のギャップで離脱を招きます。逆に、具体性の高い約束を抽象的な言葉に置き換えると、クリックする理由そのものが弱まります。
**6. ファーストビューで選ばせていないか。**複数の選択肢を並べる構造は、自分がどれに当てはまるか分からない人を振り落とします。回遊用のアンカーリンクを足すと、意思決定が「申し込むかどうか」から「どこを見に行くか」にずれます。ファーストビューの役割は「選ばせる」ことではなく「これは自分向けだと分からせる」ことです。
**7. 競合と検索環境が変わっていないか。**検索結果の表示形式や競合の改善で、相対評価は動きます。検索結果画面と競合ページを定点観測してください。
広告を併用していて獲得単価が合わないなら、CPA改善の考え方もあわせてご覧ください。
ツールで限界を感じたら:プロに依頼すべきケース
無料ツールでは「原因の特定」や「再現性のある改善設計」まで踏み込めない場面があります。外注が合理的なのは、主に次の4つです。
- 症状はあるのに原因が特定できない(インデックスされない、順位の急落、特定テンプレート配下だけ伸びない)
- 実装リスクが高い領域を触る(リダイレクト設計、canonical、サイト移転、URL変更、CMS改修)
- 計測設計を作り直す必要がある(何をコンバージョンとして数えるかが、実際の獲得と一致していない)
- セキュリティ面で不審な挙動がある(意図しない外部遷移、警告表示、改ざんの疑い)
図⑫ 外注が合理的な4つのケース
原因が特定できない症状は、ログや設定、構造の複合要因になりやすく、表面的な指摘では解決しません。実装リスクが高い領域は、誤ると流入や売上への影響が大きく、設計とレビューを入れるだけでもリスクは下がります。計測設計は静的な診断ツールの守備範囲の外側で、後から作ると、それまでの期間の判断がすべて疑わしくなります。セキュリティの不審な挙動はスピードが重要で、調査から封じ込め、復旧、再発防止までを一気通貫で進める必要があります。
逆に言えば、それ以外の多くは自社で進められます。実測で未対応率が高かった項目の多くは、属性1つの追加やテンプレート1箇所の修正で済みます。まず自社でできる範囲を潰し、それでも動かないときに専門家を呼ぶ順番が合理的です。
診断は、一度やって終わりではありません。サイトの使いやすさに完成形はなく、見直し続ける必要があります。市場も競合も変わり続けるので、こちらも合わせて変わらざるを得ないからです。
600を超えるサイトを調べた結果からも、サイトを常に完璧な状態に保つのは難しいことが分かります。大事なのは、一度に大きく直す瞬発力より、改善を回し続ける持久力です。大きな改善が一度出ても、そこで満足したり力尽きたりしては続きません。普段からサイトに目をかけ、良い状態を長く保ち、育てていく。それがいちばん身につけたい力です。
まとめ
サイト診断は一度きりのイベントではなく、成果を安定させるための定期点検です。
- **4観点を横断して見る。**4つは連動しており、1つだけを磨いても成果は出にくい
- **技術的な穴は思っているより多い。**603サイトの実測(2026年9月12日時点)で、canonical未設定30%、sitemap.xml未設置22.6%、OGP未設定21.7%、H1に問題88%、構造化データ皆無45%
- **導線の穴も同様。**追従CTAが低評価60%、フォーム未検出47.6%、タップ領域が推奨未満58%、電話番号を検出できた275件の28%はタップ発信できない
- **スコアをKPIにしない。**偏差値は順位の目安。テンプレート共通の問題から、売上に近いページの順で直す
- **数え方を最初に疑い、中間指標と最終指標を両方見る。**中間が改善しても最終が悪化することがある
- **料金・条件のページはコンバージョンページとして扱う。**条件はCTAに到達する前に読まれている
- **1施策ずつ、本番を複製して検証する。**同時に入れるとどれが効いたか分からなくなり、本番への直投入は切り戻しを効かなくする
自社サイトがどの穴に該当しているかは、URLを入れるだけの無料診断で確認できます。603サイトと同じ基準で採点し、同業種内の位置を偏差値で表示します。登録は不要です。業種ごとの傾向は20業種の総合スコア一覧もあわせてご覧ください。
