本記事の数値について 20業種603サイトを同一基準で実測した、2026年9月12日時点の診断データに基づきます。以後の診断で母数は増えますが、本記事の数値は再集計せず固定しています。集計方法・採点基準・限界は調査方法と採点基準をご覧ください。
「料金がわからないから、問い合わせをやめた」。この行動は、サイト側からは見えません。フォームの入力を途中でやめたわけでも、電話をかけてすぐ切ったわけでもなく、そもそもページを閉じてしまうだけだからです。離脱として記録は残っても、理由までは分かりません。
料金の透明性は、比較検討をしている人にとって、最初に効いてくる情報の一つです。金額そのものを出せない事情がある業種であっても、目安や決まり方を示せるかどうかで、比較の土俵に残れるかどうかが変わってきます。
私たちが2026年9月時点で診断した603サイトについて、料金・価格の情報がどれだけ分かりやすく示されているかを表す項目(C-05)を集計しました。以下の数値はすべてこの603サイトの実測値です。
603サイトの実測:全体平均55点、19.4%が50点未満
603サイトのC-05(料金・価格の透明性)の平均点と、50点未満の割合は次のとおりです。
| 項目 | 値 | 母数 |
|---|---|---|
| 平均点 | 55点 | 603サイト |
| 50点未満の割合 | 19.4% | 603サイト |
表① 料金の透明性(C-05)の全体傾向
平均は55点で、極端に低いわけではありません。ただし603サイトのうち19.4%、およそ5社に1社が50点未満にとどまっています。この項目は、金額そのものの明示だけでなく、料金の決まり方や目安が示されているかも含めて採点しているため、平均点が中庸に見えても、業種によって内訳の差は大きくなります。
業種で見ると、37点から72点まで開きがある
業種別の平均点を見ると、下位と上位で大きな差があります。まず下位10業種です。
| 業種 | 平均点 | 50点未満の割合 |
|---|---|---|
| 製造業 | 37 | 63.3% |
| 結婚式場・ブライダル | 43 | 40% |
| IT受託・Web制作 | 44 | 40% |
| 人材・採用 | 45 | 36.7% |
| 不動産 | 49 | 30% |
| 介護・福祉 | 52 | 20% |
| 観光・宿泊 | 53 | 10% |
| 建築・リフォーム | 54 | 20% |
| 飲食 | 54 | 10% |
| 医療・クリニック | 55 | 26.7% |
表② 業種別・料金の透明性が低い順(各n=30)
製造業は平均37点で、603サイト全体の中でも突出して低い数値でした。63.3%が50点未満です。
上位5業種は次のとおりです。
| 業種 | 平均点 | 50点未満の割合 |
|---|---|---|
| 自動車販売・整備 | 60 | 10% |
| 美容・サロン | 63 | 3%(n=33) |
| 整体・治療院 | 68 | 6.7% |
| レンタルサーバー・VPS | 68 | 0% |
| SaaS・クラウドサービス | 72 | 0% |
表③ 業種別・料金の透明性が高い順(上位5)
SaaS・クラウドサービスとレンタルサーバー・VPSは、50点未満のサイトが1件もありませんでした。
なぜこの差が生まれるか
上位と下位を分けているのは、料金体系そのものの性質だと考えられます。SaaS・クラウドサービスやレンタルサーバー・VPSは、月額や年額のプランがあらかじめ決まっており、料金表を1ページにまとめて公開する慣習が業界に根付いています。美容・サロンや整体・治療院も、施術ごとの価格がメニュー表として明示しやすい業態です。
一方、製造業やIT受託・Web制作、人材・採用、不動産といった下位の業種は、案件ごとに条件が異なり、金額を一律に示しにくいという事情があります。「規模や仕様によって異なるため、金額は個別見積もり」という考え方自体は不自然ではありません。ただし、そこで思考が止まってしまい、目安すら示さないサイトが多いことが、63.3%という製造業の50点未満率につながっている可能性があります。
金額を確定できない業種でも、示せる情報はいくつかあります。過去の案件でよくある価格帯のレンジ、料金が決まる要因(規模・工期・仕様など)、見積もりが出るまでの流れとおおよその日数です。これらは「要見積もり」の一言よりも、比較検討している相手に安心感を与えます。結婚式場・ブライダルや不動産のように、そもそも高額で個別性の高い商材を扱う業種ほど、この「決まり方の説明」が効いてくると考えられます。
自社サイトではどう確認するか
まず、自社サイトの料金ページ、あるいは料金に触れているセクションを、初めて訪れた人の視点で読んでみてください。金額そのものが書かれていなくても、次の3つのうちどれかが分かれば、比較検討中の人には一定の判断材料になります。
- 価格帯の目安:「〇〇万円〜」のようなレンジ表示があるか
- 料金が決まる要因: 何によって金額が変わるのかが説明されているか
- 見積もりまでの流れ: 問い合わせから金額提示までに、何をどのくらいの期間で行うのか
この3つがどれも無く、「お見積もりはお問い合わせください」とだけ書かれている場合は、C-05の対象になっている可能性が高いといえます。特に今回の実測で平均点が低かった製造業、結婚式場・ブライダル、IT受託・Web制作、人材・採用、不動産に該当する場合は、優先して見直す価値があります。
料金の見せ方は、事例・実績の見せ方ともあわせて検討すると効果的です。比較検討中の相手が知りたいのは「いくらか」だけでなく「その金額で何が得られるか」でもあるためです。事例・実績の実測については、603サイトの実測記事でも扱っています。自社の料金の見せ方が同業種の中でどの位置にあるかは、私たちが公開しているコンバージョン偏差値スキャナーにURLを入れることで、偏差値として確認できます。
まとめ
- 603サイトの実測で、料金の透明性(C-05)は全体平均55点、19.4%が50点未満だった
- 業種別では製造業が平均37点で最も低く、63.3%が50点未満。SaaS・クラウドサービスは72点で、50点未満は0%だった
- 上位業種は月額・メニュー型の料金体系が多く、価格表を公開する慣習が根付いていると考えられる
- 下位業種は個別見積もりが前提の業態が多いが、金額を確定できなくても価格帯や決まり方は示せる
- 「要見積もり」の一言で止めず、レンジ・決定要因・見積もりまでの流れを補うことが改善の出発点になる
自社の料金表示が同業種の中でどの位置にあるかは、URLを入れるだけの無料診断で確認できます。20業種の総合スコアはこちらの一覧記事にまとめています。






