CVSCANコンバージョン偏差値スキャナー
ガイド 0211セクション読了目安 約29分最終更新 2026.10.30

サイト改善の進め方|分析から施策実行まで

サイト改善を思いつきの施策で終わらせないための進め方を、6ステップで整理しました。目的の決め方とKPIの分解、成果が出ない典型的な失敗、分析で見るべき指標、課題別の施策例、効果測定の設計までを、20業種603サイトの実測データと実務で繰り返し起きる失敗の構造をもとに解説します。

この記事でわかること

  • 成果が積み上がらない原因は施策ではなく進め方。目的→KPI→課題の言語化→優先順位→検証の6ステップで回す
  • 改善の入り口で「CVRが低いのか、CVを数え間違えているのか」を切り分ける。プロキシ指標での最適化は勝者を誤らせる
  • 施策は足し算では効かない。1つずつ入れ、中間指標と最終指標を先に両方決めてから検証する
  • 603サイトの実測では追従CTA低評価60%、H1に問題88%、フォーム未検出47.6%。難易度の低い改善余地が広く残る
目次(11セクション)

サイト改善は「作って終わり」ではなく、ユーザーの行動とデータに基づいて成果を伸ばし続けるための継続活動です。しかし実務の現場で最も多いのは、改善そのものが止まっている状態ではありません。改善はしているのに、成果が積み上がっていない状態です。

その原因の多くは、施策の良し悪しではなく進め方にあります。何を伸ばす改善なのかが決まっていない、課題を言語化せずに打ち手から入っている、複数の変更を同時に入れて何が効いたか分からない。どれも、施策の中身を磨いても解決しません。

この記事では、目的の整理から失敗しやすい点、見るべき指標、課題別の施策例、外注の判断までを、再現性のある6ステップとして整理します。あわせて、私たちが20業種603サイトを同一基準で実測したデータ(2026年9月12日時点)を判断の根拠として挟みます。集計方法と限界は調査方法と採点基準に公開しています。

60320業種を同一基準で実測
60%追従CTAが低評価
360件
88%H1の欠落・重複・不整合
531件
47.6%フォームを検出できない

図① 難易度の低い改善余地がどれだけ残っているか(20業種603サイト・2026年9月12日時点)

サイト改善とは何か

サイト改善とは、使いやすさ、情報の分かりやすさ、導線設計、表示速度、コンテンツなどを見直し、事業成果につながる指標(流入・CVR・継続利用など)を高める取り組みです。

大事なのは、見た目を整えることではありません。ユーザーが目的を達成するまでの摩擦を減らし、意思決定を後押しすることです。「探しにくい」「不安が残る」「入力が面倒」といった小さなストレスが積み重なると、流入があっても成果に結びつきません。

改善対象はデザインだけでなく、情報設計(どんな順で何を伝えるか)、コンテンツ(検索意図に合っているか)、導線(次に何をしてほしいか)、そして計測(成果を正しく測れているか)まで含みます。成果が出る改善ほど、ページ単体ではなく導線全体の最適化になりやすいのが特徴です。またユーザーの期待も競合の訴求も変わり続けるため、一度の改修で完成することはありません。仮説と検証を繰り返す運用プロセスとして設計します。

サイト改善の目的を整理する

最初に「何を伸ばす改善なのか」を決めると、分析観点・優先順位・打ち手がブレません。アクセスが課題なのにフォーム改善ばかりしても伸びづらく、CVRが課題なのに記事量産だけでは遠回りになります。

目的は、できるだけ行動と数値に落とし込みます。「問い合わせを増やす」なら、入口から完了までを分解すると、ボトルネックが特定しやすくなります。

入口ページの質検索意図・広告の訴求と合っているか
比較ページの説得力事例・料金・FAQで不安が解消されるか
CTAクリック率次の行動が見つかり、心理段階に合うか
フォーム完了率入力負荷と不安要素が最終盤を止めていないか

図② 「問い合わせを増やす」を行動と数値に分解する。どの段で止まっているかで打ち手が変わる

あわせてサイトの役割をフェーズで分け、認知・比較・獲得・継続のどこを強化したいのかを言語化すると、必要な情報(事例、料金、FAQ、保証など)と導線設計が自然に決まります。

目的 主に見る指標 主な打ち手
アクセスを増やす 表示回数、クリック率、平均順位、流入クエリ 検索意図に合うページ、タイトル・見出し、内部リンク
CVRを上げる CTAクリック率、フォーム到達率・完了率 訴求、信頼要素、導線短縮、入力負荷の軽減
リピートを増やす 再訪率、会員利用率、再購入率 再訪の理由づくり、メール・SNS導線、マイページ
導線を整える 遷移率、離脱ページ、回遊数 ナビゲーション、内部リンク、選択肢の絞り込み

表① 目的別に見る指標と打ち手の対応

アクセス数(集客)を増やす

アクセスを増やす改善では、流入経路ごとに課題を分けるのが近道です。自然検索なら検索意図に合うページが不足していないか、広告ならランディング先が訴求に合っているか、SNSなら拡散されやすいテーマかを確認します。

SEO観点では、タイトルや見出し、ページ構造、内部リンクが弱いだけで、同じ内容でも評価が伸びにくいことがあります。603サイトの実測では、4軸のうちSEO集客の平均は54点、AI検索(LLMO)は43点で、サイト基盤の69点より低く出ています。中でもH1の欠落・重複・titleとの不整合のいずれかに該当するサイトは531件・88%でした(詳細)。専門知識よりも「見に行く習慣」で見つかる問題です。

さらに重要なのが、流入キーワードとページ内容の整合です。検索意図が「比較」なのに「会社紹介」中心だと直帰が増え、検索評価も落ちやすくなります。広告を併用している場合は、この整合がさらに効きます。広告で作った期待と、着地したページの第一印象が揃っていないと入口で取りこぼします。実務では、LP単体をどれだけ磨いてもこのズレは解消しません。広告側で反応の良い訴求軸を、着地ページのファーストビューに反映するほうが先です。

CVRを上げる

CVR改善は、成果に近いページから取り組むほど効果が出やすい領域です。LP、料金ページ、商品詳細、導入事例、フォームなど、意思決定の最終盤で何が障害になっているかを特定します。ボトルネックは大きく「訴求が弱い」「信頼が足りない」「次の行動が分かりにくい」「入力が面倒」に分かれます。603サイトの実測では、事例・実績の見せ方は51.9%が50点未満(詳細)、信頼要素の配置は31.2%が50点未満、料金の透明性は平均55点でした。メリットは書いてあるのに、根拠となる材料が足りていないサイトが半数近くあるということです。

リピート率を上げる

リピート率を上げるには、再訪する理由をサイト側が用意できているかがポイントです。新着情報、便利機能、会員特典、サポート情報など「また来る価値」を設計し、メールやSNSなど外部チャネルも含めて再訪導線を考えます。会員向け体験では、ログイン後に何ができるかが伝わっていないケースが目立ちます。マイページの価値や履歴からの再購入を整えると、単発の獲得から継続利用へ移行しやすくなります。

導線を最適化する

導線最適化の目的は、ユーザーが迷わず目的ページへ到達できる状態を作ることです。ナビゲーション、カテゴリ設計、内部リンク、パンくず、サイト内検索、関連記事提示は、すべて「次の一手」を助ける仕組みです。603サイトの実測では、パンくずの評価は35.2%が50点未満でした。

改善では、ページ単体の出来よりもページ間の遷移データが役に立ちます。どこで止まり、どこに進めずに離脱しているのかが分かると、リンクの追加や順序の入れ替えといった小さな改修でも効くことがあります。ただし、導線は増やせばよいわけではありません。実務では、選択肢を増やしたことで離脱が増えるという逆転がしばしば起きます。ファーストビューで「自分はどれに当てはまるのか」を選ばせる構造にすると、判断できない人を振り落とす。回遊リンクを上部に足すと、意思決定が「申し込むかどうか」から「どこを見に行くか」にすり替わる。ファーストビューの役割は選ばせることではなく、これは自分向けだと分からせることです。

CTAを改善する

CTA改善は、ボタンの色やサイズだけでなく、提示している行動そのものがユーザー心理に合っているかが重要です。比較検討中の人にいきなり購入を迫るより、資料請求や相談など心理的ハードルの低い行動のほうが成果が出る場合があります。

ここで先に疑うべきは、CTAの数ではなく序列です。複数のCTAを並べているサイトでは、需要が最も大きい導線が一等地に置かれていないことがよくあります。実務では、新しいCTAを足す前に既存データで各導線のクリック比率を並べるだけで、序列のねじれが事前に見つかります。まず順序を疑い、それから追加を検討する順番が妥当です。

配置の観点では、603サイトの実測が参考になります。スクロールしても表示され続ける追従CTAが低評価のサイトは360件・60%。モバイルのページ丈は中央値8,403px、10,000pxを超えるサイトが40%あります(詳細)。ページをまたいだヘッダーCTAの一貫性も、低評価が33%でした。

追従CTAが低評価60%
モバイルのページ丈が10,000px超40%
ヘッダーCTAの一貫性が低評価33%

図③ CTA配置に関する実測。長いページほど、押したい瞬間にボタンが無い(20業種603サイト・2026年9月12日時点)

文言については、盛るより正直に書くほうが安全です。所要時間などを実態より短く見せると、クリック直後のギャップで離脱を招きます。逆に、具体性の高い約束を聞こえのよい抽象語に置き換えると、クリックする理由そのものが弱まります。誇張は期待値を上げますが、体験とのギャップで失うほうが大きいことがあります。評価もクリック率で終わらせず、最終的にCVへどれだけ寄与したかまで追ってください。クリックが増えても後工程で落ちるなら、それはCTA単体ではなく導線全体の問題です。

サイト改善のメリット

継続的に改善すると、同じ広告費・同じ流入でも成果が増えます。CVRが上がれば獲得単価が下がり、検索流入が増えれば中長期の集客基盤になります。もう一つ大きいのが、情報が探しやすい・説明が誠実・手続きが分かりやすいという体験が信頼として蓄積し、比較の場面で「選ばれる理由」になる点です。勝ち筋を検証で見つけて横展開できる状態そのものが、競合に真似されにくい差別化要因になります。

サイト改善でよくある失敗

成果が出ないケースの多くは、目的不在・仮説不足・検証不足など「進め方」に原因があります。代表的な失敗を先に把握しておくと、施策を選ぶ段階で「それは目的に効くか」「測れるか」「次に学びが残るか」を確認でき、改善の再現性が上がります。

実務ではこう見る滝沢 哲平(CVR改善コンサルタント)

分析はあくまで手段で、ほしいのは改善による事業の成果です。きれいなレポートや提案資料づくりに手間をかけすぎるのは、目的から外れています。

極端に言えば、AIに頼って、改善策とその根拠だけを先に手に入れてもかまいません。AIのおかげで、以前とは比べものにならない数の施策を試せるようになりました。数を回せば、当たりを引く機会も増えます。

ターゲットが不明確

「30代女性」といった大枠のままだと、刺さる訴求が作れず、ページ構成もCTAも最適化できません。ペルソナを作ることが目的ではなく、意思決定に影響する要素を具体化することが目的です。何に悩み、何を怖がり、何を根拠に選ぶのかまで言語化できると、コンテンツの優先順位と導線が決まります。ここが曖昧なまま改修すると、説明を増やしたのに伝わらない、CTAを増やしたのに迷わせる、といった逆効果も起きます。

目的・KPIが曖昧

目的が曖昧だと判断基準がなくなり、改善が「目立つ変更」に偏ります。結果として、デザイン変更やトップページ改修など工数の大きい施策をしても、成果が説明できない状態になります。KGI(CV数、売上)とKPI(CVR、CTAクリック率、フォーム完了率)をセットで定義すると、どこを直すべきかが分解できます。数値目標は厳密でなくても構いませんが、改善前後を比較できる形にすることが条件です。測れない目標は、学びが残りません。

測っているCVが、欲しい結果とずれている

KPI以前に、そもそもCVの定義がずれていることがあります。実務でよく見るのは、管理画面上のコンバージョンが「ボタンのクリック」で計上されていて、実際の獲得件数とは別物になっているケースです。

✕ よくある状態

  • 管理画面のCVが「ボタンのクリック」で計上されている
  • 配信側はそのプロキシを最大化しやすい人を集める
  • 成績が良く見える広告が、実際の獲得効率では最も悪い

○ 目指す状態

  • CVは実際の獲得件数で定義する
  • 改善の入り口で「CVRが低い」のか「数え間違い」かを切り分ける
  • その上でKGIとKPIをセットで置く

図④ プロキシ指標で最適化すると、間違った勝者を選び続ける

これは単なる集計のズレでは済みません。プロキシ指標(代理指標)で最適化すると、配信プラットフォームはそのプロキシを最大化しやすい人を集め、管理画面で最も成績が良く見える広告が実際の獲得効率では最も悪い、という逆転が起こり得ます。ここを飛ばすと、間違った勝者を選び続けることになります。

経験や勘で進める

過去の成功体験は、状況が変わると再現しません。デバイスの主流も、検索結果の見え方も、競合の訴求も変化し続けるためです。定量データで当たりを付け、定性データで納得度を上げる流れが安定します。離脱が多いページを特定し、ヒートマップで読まれていない箇所やクリックの迷いを確認すると、改善が具体化します。勘での改善が悪いのではなく、検証せずに次へ進むことが問題です。

見た目だけを変える

「見た目を変えても成果は出ない」とよく言われますが、これは正確ではありません。実務では、フォームの配色やコントラストといった視覚的な要素だけを調整して、入力完了率が動くことがあります。視覚は摩擦の一部であり、無意味ではありません。問題なのは、目的のない見た目変更です。「何の摩擦を減らすための変更か」が定義されていないと、結果が良くても悪くても理由が分からず、改悪したときに戻す判断もできません。

見た目が無意味なのではなく、目的のない見た目変更が無意味

判断基準は「見た目か、構造か」ではなく「摩擦の仮説があるか」。押せる場所が分かりにくい、入力欄と背景の区別がつかないといった摩擦なら、視覚的な調整がそのまま打ち手になる。変更前に「この変更で減らしたい摩擦は何か」を一文で書けるかを確認する。

つまずく原因が情報の順序や比較材料の不足にあるなら、色を変えても解決しません。

効果測定をしない

効果測定をしないと、成功も失敗も判断できず、改善が止まります。ここはつまずきが最も多い部分なので、次章のステップ5でまとめて整理します。

サイト改善を成功させるポイント

改善がうまくいくチームは、施策を思いつく前に「誰が何に困っているか」を揃えています。ユーザー像が共有されると、必要な情報と不要な装飾が切り分けやすくなります。

次に、課題をデータで特定し、原因仮説を言語化します。課題は運営側の都合ではなく、ユーザーの目的達成を阻む要因として定義します。「問い合わせが少ない」ではなく「比較材料が不足して不安が解消されない」という形です。

最後に体制です。分析、企画、デザイン・開発、コンテンツ、承認者の役割を明確にし、小さく早く回せる状態を作ります。このとき、計測環境の整備は最初にやるべき仕事です。実務では、配信や公開を始めてから計測を整えると、その期間の予算が誤った最適化に費やされます。

1. 計測CV定義と計測環境を先に整える。ここが無いと以降の判断が歪む
2. 入口広告の訴求とページの第一印象を揃える。LP単体の磨き込みでは解消しない
3. 磨き込みCTA、フォーム、信頼要素を1つずつ検証して積み上げる

図⑤ 手を付ける順序。後回しにするほど取り返すコストが高くつく

サイト改善の手順(6ステップ)

サイト改善は手順化すると再現性が上がります。狙いは、思いつきの施策を減らし、優先順位と検証をセットで回すことです。改善はアイデアの数ではなく、成果につながる学習の量で伸びます。特に重要なのは、分析と実行の間に「課題の言語化」と「優先順位付け」を挟むことです。ここが弱いと工数の大きい施策から着手してしまい、検証が遅れて改善が止まります。

1. 現状を分析する流入・CV・主要ページを数値で把握。CV定義を確認
2. 課題を洗い出すどこで止まっているかを「現象」と「影響範囲」で言語化
3. 施策を立案する原因仮説ごとに複数案。誰のどんな摩擦を減らすか
4. 優先順位をつけて実行効果×難易度。1つずつ入れる
5. 効果を測定する成功条件を事前に決める。中間指標と最終指標の両方
6. 評価して次へ仮説の当たり外れを整理し、改善ログに学びを残す

図⑥ 6ステップの全体像。分析と実行の間に「課題の言語化」と「優先順位付け」を挟む

ステップ1:現状を分析する

目的とKPIに沿って、全体の流入、CV、主要ページのパフォーマンスを把握します。ゴールは、感覚ではなく数値で現状認識を揃えることです。分析はボリュームがあるページと成果に近いページを優先します。アクセスが多いのに成果が出ないページは改善の効果が大きく、アクセスが少なくてもCVRが高いページは集客を増やす価値があります。デバイス、流入経路、新規・リピーターでのセグメント分けも重要です。結果が違えば原因も異なることが多く、まとめて改善すると外します。

なお、この段階で前述の「CVの定義が合っているか」を必ず確認してください。定義がずれたまま先に進むと、以降のすべての判断が同じ方向に歪みます。

ステップ2:課題を洗い出す

ページ別・導線別に、どこでユーザーが止まっているかを言語化します。入口ページの直帰が高い、比較ページから申込みに進まない、フォームで離脱が多い、といった形です。課題は「現象」と「影響範囲」で整理すると優先度を付けやすくなります。フォーム離脱はCV直結、入口直帰は流入効率に直結と、影響する指標が違うからです。この段階でいきなり解決策に飛ぶと施策が散り、検証が遅くなります。まず課題を絞ってください。

ステップ3:改善施策を立案する

課題ごとに原因仮説を立て、打ち手を複数案出します。コンテンツ、導線、CTA、フォーム、表示速度、信頼要素など、選択肢を広げたうえで絞り込みます。

施策は「誰の」「どんな不安や摩擦」を減らすのかで整理するとブレません。価格が不安なら料金根拠や比較表、手続きが不安なら流れ説明やFAQ、信頼が不安なら実績やレビューです。この設計ができると実装の指示が具体化し、制作側との認識差が減ります。

ステップ4:優先順位をつけて実行する

優先順位は、効果と難易度で決めます。効果は改善余地・対象トラフィック・CVへの寄与で見積もり、難易度は工数・費用・リスクで評価します。

実務ではこう見る滝沢 哲平(CVR改善コンサルタント)

優先順位は、改善でどれだけ効果が出そうかで決めます。ただ、効果の大きさはあくまで仮説なので、実際には費用や手間と見比べて、その都度判断しています。

今なら、AIの力を借りて、数字や統計の面から判断の材料をそろえるのもよい方法です。

効果大 × 難易度低最優先。CTAの序列変更、文言、入力支援、追従CTAの追加。短期で検証して学習速度を上げる
効果大 × 難易度高情報設計の再構成、大規模リニューアル。小さな検証で方向性を確かめてから着手
効果小 × 難易度低軽微な表記修正、リンク切れ対応。運用の中で随時処理する
効果小 × 難易度高効果の見込めない機能追加。見送る判断も含めて検討する
← 難易度 低難易度 高 →

図⑦ 効果×難易度で着手順を決める。左上から始めて右上へ広げる

分類 例 進め方
効果大/難易度低 CTAの序列変更、文言、入力支援、追従CTAの追加 最優先。短期で検証して学習速度を上げる
効果大/難易度高 情報設計の再構成、大規模リニューアル 小さな検証で方向性を確かめてから着手
効果小/難易度低 軽微な表記修正、リンク切れ対応 運用の中で随時処理する
効果小/難易度高 効果の見込めない機能追加 見送る判断も含めて検討する

表② 施策の優先順位付け(効果×難易度)

ここで一つ、実務で外しやすい前提があります。

施策は足し算では効かない。個別に効いた施策を統合しても、伸びは単純合計にならない。1つずつ入れて、積み上がり方そのものを確認する。

同じ機能を担う導線を重ねても、効果は合算されません。小さな勝ちを積み上げてから構造的な改善へ広げるのが安全です。

ステップ5:効果を測定する

施策の成功条件を事前に決めます。ここには、実務で繰り返し起きる失敗が集中しています。

中間指標と最終指標を、両方あらかじめ決める。 実務では、ファーストビューやフォーム上部の離脱率が改善したのに最終的なCVRは悪化する、ヒートマップ上の注目度が上がったのにコンバージョンは下がる、といった逆転が起きます。

✕ 中間指標だけで判定

  • FVやフォーム上部の離脱率が改善した
  • ヒートマップの注目度が上がった
  • それを「成果」として報告し、最終CVRの悪化に気づかない

○ 両方を先に決めて判定

  • 中間指標(離脱率、注目度、クリック率)は途中経過
  • 最終指標(CVR、獲得件数)で勝敗を決める
  • 検証前に両方を定義し、逆転したら理由を探る

図⑧ 中間指標と最終指標のねじれ。途中経過を成果として報告しない

複数の施策を同時に入れると、どれが効いたか分からなくなります。 3つ同時に入れるとどれが効いたか分離できず、2要素を同時に変えて負ければどちらが悪かったかも分かりません。1施策ずつ、または「効果が独立していると説明できる組み合わせ」に限定します。

検証で本番を直接触らない。 現行の勝ちページを複製して改修版を作れば、負けても本線は無傷のまま切り戻せます。本番に直接入れていれば、その期間のコンバージョンを丸ごと落とします。

テスト設計は流入量から逆算する。 期間が短い、母数が小さいといった条件では勝率が確定水準に届かず、方向性は読めても改善の倍率までは一般化できません。バリアント数も同様で、増やすほど1本あたりのデータが薄くなり、配信比率が偏れば率での判定にも留保が要ります。

  • 中間指標だけを見て勝敗を決める
  • 複数の施策を同時に入れて、どれが効いたか分からなくする
  • 本番ページを直接改修して検証する
  • 流入量に対して期間が短い・母数が小さいまま倍率を一般化する
  • 流入量を見ずにバリアント数を増やす
  • 曜日や季節がずれた期間・対象を比較する

図⑨ テスト設計でやってはいけないこと

ステップ6:評価して次の施策につなげる

結果から、仮説が当たったか外れたかを整理します。ゴールは成功・失敗の判定ではなく、次に当てるための学びを残すことです。あわせて、外部要因(季節、広告配信、検索順位変動)がなかったかも確認します。良かった施策は横展開し、成果が出ない施策は撤退判断をして別仮説に切り替えます。改善ログ(施策内容・狙い・結果・学び)を残すと、担当が変わっても根拠が残り、組織として成果を再現しやすくなります。

サイト分析で見るべき指標

指標は単体で見ると誤解が起きます。直帰率が高くても、1ページで目的を達成しているなら問題ではありません。また、指標はページタイプごとに期待値が違います。記事は回遊や滞在、LPはCVRやクリック率が重要になりやすいなど、役割に合わせて評価軸を変えます。

指標 悪化が示すこと 併せて見るもの
表示速度 体験の土台が崩れている モバイルの実測値、LCP/CLS
直帰率(入口) 意図のズレ、FVの弱さ、次行動の不在 流入クエリ、デバイス、速度
離脱率(中間) 導線の詰まり、選択肢過多、情報不足 遷移先の有無、次ページ到達率
滞在時間・回遊 読まれていない、探しにくい スクロール到達、内部リンク
CTAクリック率 見つけにくい、心理段階と不一致 表示位置、追従CTAの有無
CVR・フォーム完了率 最終盤の摩擦 項目数、入力支援、不安要素
流入クエリ 意図と着地内容のズレ 表示回数、クリック率、平均順位

表③ 主要指標と、単体で判断しないための組み合わせ

表示速度は、診断ツールの点数より、実際の利用者の計測(Core Web Vitals)で見ます。国内602サイトの実測では、テストの点数が低くても実際の利用者では56.0%が合格していた一方、操作への反応(INP)で29.1%が不合格で、広告・計測タグが8個以上入っているサイトでは6割が不合格でした。改善施策を足すたびにタグも増えていくので、効果測定のツールを入れるときは、使い終わったタグを外す運用までセットにします(国内サイトのINPを悪くしている原因)。

どの指標が悪化しているか
直帰率(入口)流入クエリと着地内容のズレ、FVの弱さ、次行動の不在。デバイスと速度も併せて見る
離脱率(中間)導線の詰まり、選択肢の多さ、情報不足。遷移先の有無と次ページ到達率を確認
CTAクリック率見つけにくい位置、心理段階との不一致。表示位置と追従CTAの有無を確認
CVR・フォーム完了率最終盤の摩擦。項目数、入力支援、不安要素。ただし先にCV定義のズレを除外する

図⑩ 悪化した指標から疑う原因を切り分ける。指標は単体で判断しない

指標を見るときに注意したいのが、料金や条件を書いたページの扱いです。実務では、料金ページはCVの手前で熟読されています。条件が不利に変わると、流入量が同じでもCTAのクリックだけが落ちます。つまり料金ページは「料金を伝えるページ」ではなく「離脱が発生するCVページ」として扱うのが実態に合っています。603サイトの実測でも、料金の透明性は平均55点、19.4%が50点未満でした。

デバイス別の確認も欠かせません。PCとスマホでCVRや離脱が違う場合、表示崩れ、読みづらさ、タップしづらさ、入力負荷が疑われます。603サイトのモバイル実測では、押せる要素の4割以上が推奨サイズ未満のサイトが58%ありました(詳細)。改善はアクセスが多いデバイスから優先します。

課題別のサイト改善施策例

指標の悪化は「課題の種類」を示すサインです。最小の変更で検証し、当たりが取れてから広げるほうが、改悪リスクと工数を抑えられます。

課題 着手しやすい施策 603サイトの実測(2026年9月12日時点)
アクセスが少ない 検索意図に合うページ、タイトル・見出し、内部リンク、技術面の整備 H1に問題88%/sitemap.xml無し22.6%/canonical未設定30%/構造化データ皆無45%
直帰率が高い FVで「誰の何を解決するか」を明示、次行動の提示、速度改善 SEO平均54点・LLMO平均43点。着地の質が全体的に低い
滞在が短い 結論ファースト、目次・見出し、図解や比較表、順序の入れ替え パンくずは35.2%が50点未満
CVRが低い CTAの序列と配置、信頼要素、フォームの入力負荷軽減 追従CTA低評価60%/事例・実績51.9%が50点未満/信頼要素31.2%が50点未満
問い合わせが取りこぼされる フォーム設置、電話導線のリンク化、代替導線の整備 フォーム未検出47.6%。そのうちtel:リンクで代替できているのは31.7%

表④ 課題別の施策と、実測データによる裏づけ

フォーム周りは、同じ流入のままで成果が動きやすい領域です。603サイトの実測では、項目数の中央値は7で10項目超が25%、必須マークが1つも無いフォームが55%、autocomplete属性が1つも無いサイトが46%でした(詳細)。

必須マークが1つも無いフォーム55%
フォームを検出できない47.6%
autocomplete属性が1つも無い46%
構造化データが皆無45%
canonical未設定30%
フォームの項目数が10超25%
sitemap.xml無し22.6%

図⑪ 難易度の低い改善余地の広さ(20業種603サイト・2026年9月12日時点)

入力支援は実装コストが低く、即効性があります。ただし副作用もあります。入力が終わる前にバリデーションが走り、特定項目のエラー率が見かけ上跳ね上がることがあります。入力例やプレースホルダーも認知負荷を左右します。入力例が利用者の実態と違うフォーマットだと微妙な違和感が残り、自由記述欄は「何を書けばいいか分からない」という不安が離脱の主因になります。

  • 初期項目に自動でフォーカスが当たるか
  • 入力完了のサインが項目ごとに出るか
  • ハイフンなどの記号を自動で除去しているか
  • 入力が終わる前にバリデーションが走っていないか(項目別のエラー率まで見る)
  • 入力例が多数派の実態に合ったフォーマットか
  • 自由記述欄が任意であることを明示しているか

図⑫ フォーム入力支援の確認項目。導入後は完了率だけでなく項目別のエラー率まで追う

なお、フォーム未設置自体が悪いわけではありません。業態によっては電話や予約が主経路です。問題は代替導線が機能する形かどうかで、実測では電話番号を検出できた275サイトの28%が、タップしても発信できない状態でした(詳細)。

自社サイトがこれらの項目でどの位置にあるかは、コンバージョン偏差値スキャナーにURLを入力すれば最短60秒で分かります。603サイトと同じ基準で4軸50項目を採点し、同業種の中での偏差値が出ます。

サイト改善に役立つツール

改善の精度とスピードは「計測・可視化・検証」の道具立てで変わります。ツールは多ければよいのではなく、目的に合うものを揃えることが重要です。

分類 代表ツール 主な用途
行動計測 Google Analytics 流入・行動・主要ページ・CV計測、前後比較
検索の状況 Google Search Console クエリ、表示回数、クリック率、順位、インデックス
可視化 ヒートマップツール 熟読・スクロール到達・クリック分布
検証 A/Bテストツール パターン比較、社内の意見が割れたときの判断
フォーム EFOツール 入力支援、項目別の離脱・エラーの可視化
速度 PageSpeed Insights LCP・CLSなどの確認と改善提案

表⑤ 目的別のツールと用途

導入の前に、CV定義と計測設計を先に決めます。ここが曖昧なまま入れると、数字が信用できず意思決定が遅れます。Google Analyticsはイベント計測を整えるとCTAクリックやフォーム到達といった中間指標が追えるようになります。Search Consoleは、表示回数があるのにクリック率が低いクエリを優先すると短期間で改善が出やすい領域です。

自社で難しい場合の進め方

サイト改善は、分析・企画・制作・開発・計測・運用がつながって初めて成果が出ます。どこか一つでも欠けると改善が止まります。自社で完結させるか外部支援を使うかは、能力の有無というより、ボトルネックがどこにあるかで判断します。分析設計、UXやSEOの知見、デザイン・開発工数、検証運用のどれが足りないのかを切り分け、足りない部分だけを補う形にすると、コストと成果のバランスが取りやすくなります。特に検証運用は属人化しやすく、外部支援で仕組み化すると回りやすくなります。一方で、丸投げはおすすめしません。自社の商材理解や顧客理解がないと表層の最適化で止まりやすく、社内の意思決定者が目的と判断軸を持つことが前提になります。

依頼するときは、目的とKGI・KPI、ターゲット、現状の課題認識、主要導線とCV定義、過去施策と結果、計測環境の権限、予算・期間・実装可否の制約を整理して共有します。これがあるだけで提案の精度が上がり、立ち上がりが速くなります。

まとめ

  • サイト改善は見た目を整える作業ではなく、ユーザーの目的達成を助けて事業成果を伸ばす運用。目的を決め、KPIに落とすことが出発点
  • 改善の入り口で「CVRが低いのか、CVを数え間違えているのか」を切り分ける。ここを飛ばすと間違った勝者を選び続けることになる
  • 施策は足し算では効かない。CTAは足す前に序列を疑い、導線は増やす前に選択肢の多さを疑う
  • 見た目の変更が無意味なのではなく、目的のない見た目変更が無意味。変更前に「減らしたい摩擦」を一文で書けるかを確認する
  • 効果測定では、中間指標と最終指標を先に両方決める。同時に複数施策を入れない。本番を直接触らず複製で検証する
  • 603サイトの実測では、追従CTA低評価60%、H1に問題88%、フォーム未検出47.6%(2026年9月12日時点)。難易度の低い改善余地が広く残っている

自社サイトの位置は、無料の診断ツールにURLを入力すれば最短60秒で分かります。改善の前に現状を点検したい場合はサイト診断とは?目的と進め方を、広告の獲得単価から逆算して改善対象を決めたい場合はCPA改善の進め方をあわせてご覧ください。

この記事の観点で、自社サイトはどうか

記事で触れた項目を含む4軸50項目を、URLひとつで採点します。同業種の中での偏差値と、今日から着手できる改善案まで。結果はその場で表示、最短60秒です。

記事の数値の集計方法は 調査方法と採点基準 をご覧ください。

無料で診断する
滝沢 哲平の写真

記事の監修

CVR改善コンサルタント

2007年、Eコマースビジネスの立ち上げを機にWeb解析の世界に触れ、以降、サイト分析から改善アクションのPDCAを粘り強く回し続けた結果、1年で2億円規模の事業へと成長させる。

10年以上にわたり、中小企業から大企業まで累計100社を超えるBtoB企業のコンバージョン率改善(CRO)で成果を上げている。

近年はAIを活用した分析・改善業務の効率化と、生成AI検索時代のマーケティング戦略に注力。

この診断プログラムは、普段の有償コンサルティングで最初に確認している観点を、そのまま自動化したものです。採点基準と改善提案の文面を監修しています。

ウェブ解析士協会 公式プロフィール ↗