本記事の数値について
20業種603サイトを同一基準で実測した、2026年9月12日時点の診断データに基づきます。以後の診断で母数は増えますが、本記事の数値は再集計せず固定しています。集計方法・採点基準・限界は調査方法と採点基準をご覧ください。
美容室、ネイル、まつげ、エステ。この領域のサイトは、写真がきれいです。実際に33サイトを診断しても画像・ビジュアルの品質は平均87点と高く、見栄えで大きく負けているサロンはほとんどありませんでした。
にもかかわらず総合スコアは52点で、20業種中17位です。差がついているのは見た目ではなく、訪問者が「この店に、この人にお願いしよう」と決めるまでの間に置かれている情報のほうだと考えられます。
サロンの収益は新規の一回では完結しません。指名がつき、次の予約が入って初めて採算に乗る業態です。その最初の一回をどこで取りこぼしているのか、33サイトの実測値から見ていきます。
20業種中17位
平均より-4
平均より-8
診断サイト数
美容・サロンの実測サマリー(2026年9月12日時点)
私たちは2026年9月時点で603サイトを同じ基準で診断しました。そのうち美容・サロンは33件です(他の業種は原則30件で、この業種のみ33件を対象にしています)。
| 評価軸 | 美容・サロン33件 | 全業種平均603件 |
|---|---|---|
| SEO | 47 | 55 |
| LLMO | 39 | 43 |
| 基盤 | 64 | 69 |
| UX | 58 | 62 |
| 総合 | 52(20業種中17位) | — |
表① 美容・サロンの4軸スコアと全業種平均
図① 美容・サロンの4軸スコア。数字は「自業種/全業種平均・差」(2026年9月12日時点)。青緑=平均より3点以上高い軸、朱=3点以上低い軸
4軸すべてが全業種平均を下回りました。特にSEOは8点差です。デザインの完成度と、検索や機械可読性まわりの実装の間に開きがある状態といえます。弱点として出た項目の上位3つは次のとおりです。
| 診断項目 | 平均点 | 50点未満の割合 |
|---|---|---|
| CV-03 CTA周辺の不安解消 | 25 | 100%(33/33件) |
| C-L1 営業時間・休業日の明示 | 30 | 82% |
| T-03 構造化データ(JSON-LD) | 34 | 61% |
表② 美容・サロン33サイトの弱点トップ3
弱点その1:予約ボタンの周りに、判断材料が何もない
CV-03は、予約ボタンの近くに迷いを解消する情報が置かれているかを見る項目です。平均25点、33件すべてが50点未満でした。例外が1件もない項目は、20業種を通しても多くありません。
サロン選びで初めての人が抱く不安は、料金以前のところにあります。誰が担当するのか。指名の追加料金はいくらか。所要時間はどれくらいか。当日キャンセルはどう扱われるのか。これらは店内なら口頭で説明される内容ですが、サイトでは「予約する」ボタンだけが置かれ、答えは別ページの奥に分散しているか、そもそも書かれていないことが多い状態です。
指名とリピートで成り立つ業態にとって、この欠落は軽くありません。初回の予約は「店を選ぶ」だけでなく「担当者を選ぶ」判断でもあるのに、ボタンの手前でその判断ができないからです。
直し方は、ボタンを作り直すことではなく、その周囲に数行を足すことです。予約ボタンのすぐ上か下に「指名の可否と指名料」「初回の所要時間の目安」「キャンセル規定の要点」を1行ずつ置きます。詳細ページへのリンクではなく、その場で読み切れる短文で書くのが要点です。スタッフ紹介ページがあるなら「担当を選んで予約する」導線を併設すると、指名の判断がその場で完結します。
弱点その2:営業時間と休業日が、探さないと分からない
C-L1は営業時間・休業日が明示されているかを見る項目で、平均30点、82%が50点未満でした。
サロンは不定休や週替わりのシフトを取る店が多く、さらに「営業時間」と「最終受付時間」がずれます。19時まで営業でも、カット+カラーの最終受付は17時、という店は珍しくありません。訪問者が知りたいのは営業時間そのものではなく、「自分が行きたい時間に、受けたい施術が受けられるか」です。
再来店を前提とする業態では、この情報は既存客にも効きます。次回の予約を取ろうとして休業日が分からなければ、その場で確認をやめてしまう人が出ます。
直し方は、表記の粒度を上げることです。「10:00〜19:00(最終受付:カット18:00/カラー・パーマ17:00)」のように施術ごとの最終受付を併記し、定休日は「毎週火曜、第2・第4水曜」と具体的に書きます。そのうえで同じ内容をトップページ・アクセスページ・フッターの3か所に置いてください。1か所だけ正しくても、訪問者がそのページを開くとは限りません。
弱点その3:機械には、まだ「サロン」だと分かっていない
T-03は構造化データ(JSON-LD)の実装状況を見る項目で、平均34点、61%が50点未満でした。実測でも構造化データが一切ないサイトが33件中21件、店舗情報を表すLocalBusiness系のマークアップがあったサイトは33件中0件です。
これは店名・住所・営業時間・料金を、検索エンジンや生成AIが誤解なく読み取れる形式で書いておく仕組みです。「このあたりで縮毛矯正ができるサロンは」といった探し方をされたとき、機械が内容を構造として把握できていなければ、候補として扱われにくくなる可能性があります。
直し方は、まずLocalBusiness(美容室ならHairSalon、エステならBeautySalon)のJSON-LDをトップページに1つ置くことです。店名、住所、電話番号、営業時間、支払い方法、地図の座標を記述します。複数店舗があるなら店舗ページごとに個別に置き、メニューと料金があるなら価格情報も併せて構造化します。実装はテンプレートのheadに数十行を足すだけで、表示は何も変わりません。
業種横断の実装状況は603サイトの構造化データでも扱っています。
強い部分
SSL対応は平均98点、画像・ビジュアルの品質は87点、ページ間の遷移一貫性は84点でした。見た目と安全性、サイト内の回遊しやすさはすでに水準に達しています。この業種の課題は作り直しではなく、既存ページに足りない情報と実装を足す作業だといえます。
自社サイトではどう確認するか
順番に手を動かすなら、次の3つです。
- スマートフォンでトップページを開き、予約ボタンの前後2画面分をスクロールする。指名料・所要時間・キャンセル規定のどれも読めなければ、改善余地があります。
- 「営業時間」がサイト内の何ページに載っているか数える。1ページだけなら、アクセスページとフッターに追加します。
- トップページのソースを表示し、`application/ld+json` という文字列を探す。見つからなければ構造化データは未実装です。
自社サイトで確認する手順
同業種の中での相対位置を知りたい場合は、コンバージョン偏差値スキャナーでURLを入力すると、この記事と同じ基準の採点結果が偏差値で出ます。
まとめ
- 33サイトの総合スコアは52点で20業種中17位。4軸すべてが全業種平均を下回った
- CTA周辺の不安解消は平均25点、33件すべてが50点未満。指名料や所要時間が予約ボタンの近くにない
- 営業時間・休業日の明示は平均30点、82%が低評価。最終受付まで書かれた例は少ない
- 構造化データは33件中21件が皆無、LocalBusiness系は0件。LLMO39の主因と考えられる
- 画像品質87点、遷移一貫性84点と見た目は強い。必要なのは情報の追加
他業種との比較は20業種の総合スコア一覧をご覧ください。






