本記事の数値について
海外側の数値は、米国の非営利団体WebAIMが公開している「The WebAIM Million 2026」(2026年2月実施、アクセス数上位100万サイトのトップページ)を、2026年9月時点で確認して引用しています。国内側の数値は、20業種603サイトを同一基準で実測した2026年9月12日時点の診断データです。WebAIMの対象は世界中の大規模サイト、こちらは国内の中小規模サイト中心と、母集団が大きく異なる点にご注意ください。集計方法は調査方法と採点基準をご覧ください。
ウェブアクセシビリティは、長く「大企業や公共機関が取り組むもの」と考えられてきました。けれども実際には、文字が読みにくい、画像の意味が伝わらない、フォームの入力欄が何を聞いているか分からない、といった問題は、障害の有無に関係なく誰にとっても使いにくさとして現れます。そして使いにくさは、そのまま問い合わせや購入の取りこぼしになります。
この分野で最も参照される調査の一つが、米国のWebAIMが2019年から毎年公開している「WebAIM Million」です。アクセス数上位100万サイトのトップページを同じ基準で自動検査し、どんな問題がどれだけあるかを数えています。2026年版の結果は、近年続いていた緩やかな改善が止まり、はっきり悪化に転じたというものでした。
トップページ
エラー数(前年51)
あるページ
リンクがあるページ
WebAIM Million 2026の主な数値(2026年2月実施・上位100万サイトのトップページ)
2026年の結果:違反のあるページが95.9%、エラーは前年比10%増
WebAIMによれば、ウェブアクセシビリティの国際的な基準(WCAG 2)への違反が自動検査で1つ以上見つかったトップページは95.9%でした。前年の94.8%からわずかに上がっています。1ページあたりのエラー数は平均56.1件で、前年の51件から約10%増えました。
「自動検査で見つかる」という点が重要です。自動検査で判定できるのは、アクセシビリティの問題のうち一部に過ぎません。つまりこの数字は、機械的に確実に分かる問題だけを数えても、ほぼすべてのサイトに何かがあるということを示しています。
何が多いか:上位6項目で違反の大半を占める
検出された違反の種類を並べると、ごく一部の基本的な問題が大半を占めていることが分かります。
図① 各問題が見つかったトップページの割合(WebAIM Million 2026)
最も多いのは低コントラストの文字で、83.9%のページにありました。1ページあたり平均34か所です。背景と文字の色の差が小さく、特に明るい場所でスマートフォンを見ると読みづらくなる状態です。
次いで多いのが画像の代替テキスト(alt)の欠落で、53.1%のページに見つかりました。ページ内の全画像のうち16.2%にaltがありません。前年の18.5%から割合は下がったものの、画像の数そのものが増えているため、欠落の総数は依然として多い状態です。
入力欄のラベル欠落(51%)は、問い合わせフォームに直結する問題です。ラベルがないと、音声読み上げ環境では「何を入力する欄か」が伝わりません。見た目には入力例(プレースホルダー)が書いてあっても、入力を始めると消えてしまうため、ラベルの代わりにはなりません。
WebAIMの見立て:ページの複雑化と、AIによるコード生成
WebAIMはこの悪化の背景として、外部のフレームワークやライブラリへの依存が強まっていることと、自動生成やAIの補助で書かれたコード(いわゆる「バイブコーディング」)が増えていることを挙げています。ホームページが年々大きく、技術的に複雑になっているとも指摘しています。
生成AIやノーコードツールでサイトを作ると、見た目は整っていても、画像のalt、入力欄のラベル、ボタンの名前といった「画面に見えない部分」が抜け落ちる可能性があります。見た目の確認だけで公開すると、こうした欠落は誰にも気づかれないまま残ります。
これは中小企業にとって他人事ではありません。制作会社に依頼する場合も、社内で生成AIを使って更新する場合も、確認が画面の見た目だけで終わっていれば、同じことが起きます。
日本の中小企業サイトはどうか:言語指定は世界平均より良い
同じ項目を、CVSCAN Labでも国内のサイトで測っています。20業種603サイトのトップページで、HTMLに言語指定(lang属性)がないサイトは46サイト、**7.6%**でした。WebAIMの13.5%より低く、この項目については国内の方が整っています。
図② ページの言語指定がないトップページの割合。母集団が異なるため参考比較(世界:WebAIM Million 2026/国内:2026年9月12日時点の実測)
ただし、指定はあっても中身が間違っているケースが見つかりました。lang="jp"と書いているサイトが4サイトあります。日本語を表す言語コードはjaで、jpは国(日本)を表すコードです。読み上げソフトや翻訳機能は言語コードを見て処理を切り替えるため、誤ったコードは指定がないのと同じように扱われる可能性があります。修正はHTMLの1か所を書き換えるだけです。
低コントラストや代替テキスト、「本文へスキップ」リンクの国内の状況は、次の記事で世界の数値と並べて詳しく比較します。
中小企業が今日できる対策
アクセシビリティ全体を一度に整えるのは大仕事ですが、上位の項目には、影響が大きいわりに直すのが簡単なものが並んでいます。
- HTMLの先頭の言語指定が
lang="ja"になっているか確認する(jpなら直す) - ロゴや商品写真など、意味のある画像に内容を説明するaltを付ける(飾りの画像は空のaltでよい)
- 問い合わせフォームの各入力欄に、見えるラベルを付ける(入力例だけに頼らない)
- 薄いグレーの文字や、写真の上に載せた白文字を、屋外でスマートフォンから読んでみる
- アイコンだけのボタン(検索・メニュー・閉じる)に、何のボタンかを示す名前を付ける
影響が大きく、比較的簡単に直せる項目
どれも見た目は変わらないか、変わってもわずかです。それでいて、読みにくさや操作の迷いを減らすことにつながります。アクセシビリティ対応を「特別な配慮」と考えるより、入力フォームの離脱や読み飛ばしを減らす改善と考えた方が、優先順位をつけやすくなります。
まとめ
- WebAIM Million 2026で、WCAG違反のあるトップページは95.9%、1ページあたりのエラーは56.1件と前年から悪化した
- 最も多いのは低コントラストの文字(83.9%)、次いで代替テキストの欠落(53.1%)、入力欄のラベル欠落(51%)
- WebAIMは悪化の背景に、ページの複雑化とAIによるコード生成の広がりを挙げている
- 国内20業種603サイトでは、言語指定の欠落は7.6%と世界(13.5%)より少ない。ただし
lang="jp"という誤りが4サイトあった - 上位の問題には、影響が大きく直すのが簡単なものが多い
コンバージョン偏差値スキャナーでは、文字のコントラストやタップ領域など、画面の見やすさ・操作しやすさに関わる項目もUI/UXの軸で採点しています。URLを入れるだけで、最短60秒・登録不要で結果が表示されます。
出典:WebAIM「The WebAIM Million - The 2026 report on the accessibility of the top 1,000,000 home pages」






