本記事の数値について
20業種603サイトを同一基準で実測した、2026年9月12日時点の診断データに基づきます。以後の診断で母数は増えますが、本記事の数値は再集計せず固定しています。集計方法・採点基準・限界は調査方法と採点基準をご覧ください。
飲食店のサイトを見る人は、時間をかけません。「今夜19時に4人で入れるか」「今からでも席があるか」「ランチは何時までか」。判断は数分、早ければ数十秒で終わります。
この短さが、他の来店型業種との大きな違いです。整体院や自動車販売店なら、訪問者は数日かけて何度もサイトに戻ってきます。飲食店にその猶予はありません。今その場で答えが見つからなければ、すぐ次の店のページが開かれます。検討を重ねてもらえる前提が、そもそも成り立たない業態です。
30サイトを診断した結果、総合スコアは50点で20業種中19位でした。写真も雰囲気も整っているのに数字が伸びないのは、即時性という一点への備えが弱いためだと考えられます。
20業種中19位
平均より-7
平均より-8
診断サイト数
飲食の実測サマリー(2026年9月12日時点)
| 評価軸 | 飲食30件 | 全業種平均603件 |
|---|---|---|
| SEO | 47 | 55 |
| LLMO | 35 | 43 |
| 基盤 | 61 | 69 |
| UX | 55 | 62 |
| 総合 | 50(20業種中19位) | — |
表① 飲食の4軸スコアと全業種平均
図① 飲食の4軸スコア。数字は「自業種/全業種平均・差」(2026年9月12日時点)。青緑=平均より3点以上高い軸、朱=3点以上低い軸
4軸すべてで平均を下回り、LLMOは8点差です。基盤の低さは実装面にも表れていて、sitemap.xmlがあったのは30件中15件、ちょうど半分にとどまりました。
| 診断項目 | 平均点 | 50点未満の割合 |
|---|---|---|
| C-L1 営業時間・休業日の明示 | 25 | 97%(30件中29件) |
| CV-05 電話・チャット等の代替CV | 27 | 100%(30件中30件) |
| CV-08 ページ間のCVボタン一貫性 | 34 | 67%(30件中) |
表② 飲食30サイトの弱点トップ3
弱点その1:「今日は何時までやっているか」が読み取れない
C-L1は営業時間・休業日が明示されているかを見る項目です。平均25点は20業種を通しても最も低く、97%にあたる29件が50点未満でした。
飲食店の営業時間は、他の業種より構造が複雑です。ランチとディナーで時間帯が分かれ、それぞれにラストオーダーがあり、曜日で営業形態が変わり、さらに祝日と年末年始の例外がある。ところが実測で多かったのは、「11:00〜22:00」と一行だけ書かれている形でした。これでは通し営業なのか中休みがあるのか判断できず、22時が閉店なのかラストオーダーなのかも分かりません。
即時性で動く訪問者にとって、この曖昧さは、来店を見送る理由になります。「今から行けるか」を確かめに来た人が、確かめられないまま離れます。
直し方は、表記を分解することです。「ランチ 11:30〜14:00(L.O. 13:30)/ディナー 17:30〜22:00(L.O. 21:00、ドリンクL.O. 21:30)」のように、時間帯ごとに営業時間とラストオーダーを分けて書きます。定休日は「毎週月曜(祝日の場合は翌火曜)」まで書き切り、臨時休業と年末年始はトップページ上部で告知します。この情報は、トップページ・アクセスページ・フッターの3か所に同じ内容で置いてください。
弱点その2:電話予約への導線が、実質的に用意されていない
CV-05は、フォーム以外の問い合わせ手段が機能する形で用意されているかを見る項目です。平均27点、30件すべてが50点未満でした。例外が1件もありません。
飲食店の予約は、フォームで送って返信を待つという流れが成立しにくい種類のものです。「今夜」「今から」の問い合わせに、翌営業日の返信は間に合いません。個室の有無、アレルギー対応、子ども連れの可否といった相談も、会話のほうが早く片づきます。にもかかわらず、サイト側は予約フォームか外部予約サイトへのリンクだけ、というケースが目立ちました。
直し方は3段階です。第一に、電話番号がタップで発信できるリンク形式(<a href="tel:0312345678">)になっているかを、全ページで確認すること。第二に、番号の隣に「電話受付:10:00〜17:00」と受付時間を添えること。営業時間と電話受付時間は別であることが多く、これが書かれていないと、かけてよいのか分からず手が止まります。第三に、当日・当日以外で導線を分けることです。「当日のご予約はお電話で」「翌日以降はネット予約から」と明示すれば、訪問者は迷わず正しい手段を選べます。電話導線の実態は来店型サイトの電話リンク調査でも扱っています。
弱点その3:メニューページから、予約に戻れない
CV-08は、サイト内のどのページでも予約導線が一貫して置かれているかを見る項目です。平均34点、67%が50点未満でした。
飲食店サイトで最も長く読まれるのは、トップページではなくメニューページです。料理と価格を見て、行くかどうかを決めるからです。その決断が起きる場所に予約ボタンがなく、トップページに戻らないと予約できない設計になっているサイトが少なくありませんでした。コース内容やドリンクの一覧が数画面続き、最後は次のページへのリンクだけ、という構成も見られます。
判断が数十秒で終わる業態では、「戻ってから予約する」という一手間が入った時点で、離脱の確率が上がります。
直し方は、ボタンの設計を統一することです。ヘッダーの予約ボタンは全ページで同じ位置・同じ文言・同じ色にし、ページごとに文言が変わっている状態をなくします。そのうえで、メニューページ・コース紹介・アクセスページの本文末尾に、同じ予約ボタンをもう一度置きます。ボタンの種類を増やすのではなく、同じものを繰り返し置くのが要点です。
強い部分
SSL対応は平均100点で30件すべてが対応済み、スマートフォンでのナビ操作性は84点、viewport設定も84点でした。スマートフォンで見たときの触り心地は、来店型の中では悪くありません。足りないのは操作性ではなく、操作した先で得られる答えのほうだといえます。
自社サイトではどう確認するか
- スマートフォンでトップページを開き、「今日のラストオーダーは何時か」を10秒で答えられるか試す。答えられなければ表記の分解が必要です。
- 電話番号をタップしてみる。発信画面が出なければ、リンク形式になっていません。
- メニューページを開き、下までスクロールする。予約ボタンが1つも現れなければ、CV-08は改善余地があります。
自社サイトで確認する手順
同業種の中での位置を数字で知りたい場合は、コンバージョン偏差値スキャナーでURLを入力すると、この記事と同じ基準の採点結果が偏差値で出ます。
まとめ
- 30サイトの総合スコアは50点で20業種中19位。sitemap.xmlがあったのは15件と半数
- 営業時間・休業日の明示は平均25点、97%が低評価。ラストオーダーや中休みが読み取れない
- 電話などの代替CV導線は平均27点で、30件すべてが50点未満。当日予約の受け皿がない
- ページ間のCVボタン一貫性は平均34点、67%が低評価。メニューページから予約に戻れない
- SP時のナビ操作性84点と触り心地は良い。不足しているのは、その先で得られる答え
他業種との比較は20業種の総合スコア一覧をご覧ください。






